以下はGeoGebraによる作図です。自分でスライダー(軸)を動かし、最大・最小を取るときのxがどう変化するかを確認してください。左下に自動再生ボタンもあります。
関数\ f(x)=x²-2(a+1)x+4a+1(1 x3)\ の最大値Mと最小値mを求めよ.$ 2次関数の最大・最小(区間固定で関数の軸が動く) 平方完成すると $f(x)={x-(a+1)}²-(a+1)²+4a+1={x-(a+1)}²-a²+2a$ 数学では,\ 何が一定で何が変化するかを常に意識する必要がある. 本問は,\ 区間が一定(${1 x3}$)で,\ $a$が変化すると関数の軸${x=a+1}$が変化する. 頂点の$y$座標$-a²+2a$も変化するが,\ 最大・最小を考える上で$y$方向の変化は重要でない. 以上を踏まえて最大・最小を考える.\ なお,\ 最大と最小は別々に考えるのが基本である. 何かが変化する2次関数の最大・最小問題には,\ 単純な丸暗記は通用しない. 問題ごとに自分の頭で考える必要があり,\ どのように思考を進めるかを以下に述べる. 1 最初に,\ 変化しないものを明確に図示する. {1} 本問は$1 x3\ が一定なので,\ x=1とx=3の直線を引く.\ 座標軸は余計である.$ {軸を左から右に動かしていき,\ 区間内での最大・最小を考える. {2} 最大・最小をとるときの${x}$の値が変わる瞬間に着目し,\ 場合分けする.} とにかく,\ 1 x3\ という区間が一定であることを強烈に意識する. 3つの図は,\ 区間は動かず関数が動くことがわかるよう上下で区間をそろえて図示してある. {左の方に軸がある場合},\ 最大をとるのは{区間の右端x=3のとき}である. ここから{軸を右に移動}させていき,\ {最大をとるときのxの値が変わる瞬間を探す.} 最大がx=3のみから変わる瞬間は,\ {軸が区間のちょうど中央に来たとき}である. このとき,\ {x=1,\ 3の両方で,\ 同じ値の最大}をとる. 軸がこの瞬間から{少しでも右に移動すると,\ 区間の左端x=1で最大}をとるようになる. 要するに,\ {軸a+1が区間の中央の左側,\ 区間の中央,\ 区間の中央の右側の3つの場合分け}になる. 一般に,\ {中央は両端を足して2で割る}と求まるから,\ 1 x3の中央は\ {1+3}{2}=2\ である. これは計算せずともわかるが,\ 複雑な場合は中央の求め方(詳細は数II})を知らないと面倒になる. 結局,\ 本問では\ {a+1<2,\ a+1=2,\ a+1>2}\ と場合分けすることになる. a+1<1,\ 1 a+13,\ a+1>3のように区間の端で場合分けするミスが多いので注意. 軸a+1が区間の端をまたいだとしても,\ どこで最大をとるかは変化しないことを確認してほしい. fは,\ 平方完成後の式ではなく元のx²-2(a+1)x+4a+1に代入して求める方が楽である. 同じ値になるので,\ fとfのどちらかを求めればよい. 簡単なx=1を代入すると,\ f=2a\ となるが,\ ここで終わってはいけない. この場合はaの値が確定済みなので,\ {a=1\ も代入して\ f=2\ となる.} {左の方に軸がある場合},\ 最小をとるのは{区間の左端x=1のとき}である. ここから{軸を右に移動}させていき,\ {最小をとるときのxの値が変わる瞬間を探す.} {軸が区間の左側から中に入った瞬間,\ 軸x=a+1で最小}をとるようになる. 要するに,\ 頂点が最小になる.\ この状況は,\ 軸が区間内にある限り続く. {軸が区間の右側に出た瞬間,\ 区間の右端x=3で最小}をとるようになる. 結局,\ {軸a+1が区間の左側,\ 区間の内側,\ 区間の右側の3つの場合分け}になる. つまり,\ a+1<1,\ 1 a+13,\ a+1>3\ である.\ 等号はどちらに含めてもよい. 実際,\ a+1=1のときf=f(a+1)=0となるから,\ とのどちらに含めても問題ない. 1 a+1 3は,\ 各辺を-1することで直ちに0 a2とできる. また,\ f(a+1)は頂点のy座標であり,\ 計算せずとも平方完成後の式を見ればわかる. 前問の最大値$M$と最小値$m$を$a$の関数とみて$M(a),\ m(a)$と表す. $b=M(a)$と$b=m(a)$のグラフを同一の$ab$平面上に図示せよ. $M(a)-m(a)=4$となるときの$a$の値を求めよ. 場合分けをして最大値・最小値を求めた後,\ その結果を利用する問題がよく付属する. 場合分けに応じて式が変わることに注意してグラフを描く.\ 軸名をx,\ yとしないよう注意. 複数のグラフを同一平面上に図示する場合,\ {あらかじめ連立して共有点を求めておく.} b=-2a+4とb=2aを連立すると,\ (a,\ b)=(1,\ 2)である. b=-a²+2aとb=2aを連立すると,\ (a,\ b)=(0,\ 0)である. b=-a²+2aとb=-2a+4を連立すると,\ (a,\ b)=(2,\ 0)である. 後に詳しく学習するが,\ {2次関数と直線の共有点が1個ならば,\ 図形的には接する}といえる. M(a)とm(a)で場合分けが異なるため,\ 統一して考える必要がある. M(a)はa=1,\ m(a)はa=0,\ 2が境目であり,\ {統一すると5つに場合分け}される. まとめると表のようになり,\ 後は各場合ごとに条件を満たすaを求める. M(a),\ m(a)は場合分けの条件が前提なので,\ {解がこれを満たすか否かの確認が必須}である. なお,\ ax²+bx+c=0の解の公式は,\ x={-b{b²-4ac{2a}\ である. また,\ のグラフを見れば,\ a=0,\ 2でM(a)-m(a)=4となることがすぐにわかる.