関数が極値をもつ・もたない条件

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極値をもつ・もたない条件において最も注意すべきが次である.  $「{f(x)がx=aで極値をとるf'(a)=0」は成立するが,\ {逆は成り立たない.$  左下の増減表のように,\ $f'(a)=0でも前後のf'(x)の符号が同じならば極値をもたない  $x=a$で極値をもつ条件は,\ ${f'(x)の符号がx=aの前後で変化する$ことなのである. f(x)={x+a}{x²-1}\ が極大値と極小値をもつような実数aの値の範囲を求めよ.$  $極大値と極小値をもつ条件は,\ -x²-2ax-1=0\ が2個の実数解をもつ}ことである.$  判別式を$D$とすると x²-10より,\ f(x)の定義域はx1である. このとき,\ f'(x)の分母(x²-1)²>0より,\ {f'(x)の符号は分子-x²-2ax-1\ だけで決まる.} さて,\ 極大値をもつには{f'(x)の符号が正から負に変化}する必要がある. また,\ 極小値をもつには{f'(x)の符号が負から正に変化}する必要がある. このf'(x)の符号変化を数式でとらえようとするのは無理がある.\ グラフで図形的に考えるとよい. f'(x)の符号が変化することは,\ 図形的には{y=f'(x)のグラフがx軸と交わる}ことを意味する. ここで,\ 「交わる」は「接する」を含まない.\ 接するときは符号が変化しない. f'(x)そのもののグラフを考える必要はなく,\ {符号に影響する部分を取り出して考える}. 本問では,\ 符号に影響する部分が2次関数であるからさらに容易である. つまり,\ 極大値と極小値をもつには,\ {y=f'(x)がx軸と2個の交点をもつ}必要がある. この条件は,\ {f'(x)=0における判別式D>0}で済む. 本来,\ 2個の交点をもつだけでは極大か極小かまではわからず,\ その符号変化も調べる必要がある. しかし,\ 2次関数がx軸と交わるとき,\ {必ず一方の交点で正から負,\ 他方で負から正に変化}する. 例えば,\ 下図の場合であれば,\ x=α\ で負から正に変化,\ x=β\ で正から負に変化している. これは,\ x=α\ でf(x)が極小,\ x=β\ でf(x)が極大をとることを意味している. 結局,\ {D>0だけで極大値と極小値をもつという条件を自動的に満たす}わけである. また,\ 分子のみを考えたことで,\ 2次関数に帰着して簡潔な解答になったことに留意しておこう. さて,\ 当然ながら常に2次関数に帰着するわけではない. 別解のより一般的な解法も習得してほしい. 両辺をxで割るときにx=0の可能性を考慮する必要がある. また,\ 微分しやすくするため,\ 分子の次数を下げておく. (分子の次数)(分母の次数)\ である分数関数は,\ 分子の次数を下げるのが鉄則である. 次の同値変形により,\ 結局{定数分離型の実数解の個数問題に帰着}する. y=-x²-2ax-1\ がx軸と2点で交わるy=-12x-{1}{2x}\ がy=aと2点で交わる 本問のように定数が分離できる場合,\ この解法が有効である. y=h(x)とy=aが交点をもてば,\ その前後でグラフの上下関係が逆転する. これは,\ g(x)の符号が変化することと同値である. 例えば,\ 上図では\ x=α\ において,\ -12x-{1}{2x}aに変化している. つまり,\ g(x)=-x²-2ax-1<0\ から\ g(x)=-x²-2ax-1>0\ に符号変化したことになる. h(x)のグラフは,\ 対称性に着目すると記述・思考量が半分で済む. また,\ 解の個数問題なので極限も調べなければならない. $f(x)=1x-e^{-ax}\ (x>0)\ が極値をもつような実数aの値の範囲を求めよ.$   (a=0}\ のとき,\ g'(x)=0よりg(x)は定数関数}となるから,\ 条件を満たさない.$   (ii)$a<0}\ のとき,\ x>0で常にg'(x)<0となるからg(x)は単調減少}する.$    \ $このとき,\ g(0)=-1}より常にg(x)<0}となるから,\ 条件を満たさない.$    \ $よって,\ 増減表は次のようになり,\ x=2a\ で極大}をとる.$   $f(x)$が極値をもつ条件は,\ $y=g(x)がx軸と交わる}ことである.$ 分母のx²はf'(x)の符号に影響しない.\ 分子だけを取り出して考える. f(x)が極値をもつ条件は,\ f'(x)つまりg(x)が符号変化することである. 図形的には,\ {y=g(x)がx軸と交わる}ことである. 定数aを分離できないので,\ g'(x)を求めてg(x)の増減を考慮し,\ x軸と交わる条件を考える. x>0,\ e^{-ax}>0より,\ {g'(x)の符号はaと2-axに影響される.} ここで,\ 2-ax=0よりx=2a\ としたいところだが,\ これはa0という条件が必要になる. そこで,\ 必然的に場合分けして考えることになる. a=0のとき,\ g(x)は定数関数(x軸に平行な直線)となり,\ x軸と交わるという条件を満たさない. a<0のとき,\ x>0も考慮すると2-ax>0より,\ g'(x)<0となる. g(0)=-1より,\ x>0でg(x)は-1から単調減少するから,\ x軸と交わることはない. よって,\ a>0が必要である.\ lim[x→∞]x²e^{-x}=0を利用するため,\ ax=tとして極限を求める. a>0より,\ x→∞\ で\ t→∞\ である. 結局,\ {(極大値)>0であればy=g(x)がx軸と交点をもつ}といえる. このとき,\ x軸と2点で交わり,\ それぞれ負から正,\ 正から負に変化する. g(x)が負から正に変化するxではf(x)が極小,\ 正から負に変化するxではf(x)が極大をとる. $f(x)=ax+cos x+12sin 2x\ が極値をもたないように,\ 実数aの値の範囲を定めよ.$   $f'(x)=a-sin x+cos2x$   $f'(x)が極値をもたない条件は,\ f'(x)が符号変化しない}ことである.$ [.2zh 図形的には,\ f'(x)がx軸と交点をもたなければよい.\ 接するのはかまわない. {定数分離}すると,\ y=aとy=g(x)が交点をもたないことに帰着する. さらに,\ この条件は{y=g(x)の最大・最小を求める}ことに帰着する. このとき,\ g(x)を微分して増減表を書く必要はない(もちろんそれでも解ける). 2倍角の公式を用いた後置換すると,\ 結局{2次関数の最大・最小問題}になるからである. 置換するときはその範囲に注意すること.\ sin xが取りうる値の範囲は当然-1sin x1\ である. {aが最大値以上か最小値以下ならば,\ 交点をもたない}ことになる. {接する場合も交点をもたないから,\ 最大値・最小値のときも含まれる}ことに注意.