ヨウ素還元滴定(ヨードメトリー)

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iodometric-titration
オゾンを含む標準状態の空気200Lを過剰のヨウ化カリウム水溶液に通じたところ,\ オゾンが分解してヨウ素が生成した.\ 次に,\ この溶液に指示薬としてデンプンを加え,\ 0.020mol/Lのチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定したところ,\ 3.0mL加えたときに溶液 の色が消えた.\ 空気中に含まれるオゾンの体積パーセント濃度を求めよ. オゾンの物質量はオゾンの体積は  計算自体は単なる比の計算なので容易だが,\ 原理を理解しておくことが重要である. 本実験の目的は,\ {2回の酸化還元反応の量的関係からオゾン(酸化剤)を定量}することである. 1回目の酸化還元反応の半反応式とイオン反応式は次のようになる(オゾン→ヨウ素) 酸化剤 {O3 + 2H+ + 2e- O₂ + H₂O} 還元剤 {2}I}^- I}_2 + {2e-}    {O3 + 2H+ + 2}I}^- {O₂ + H₂O} + I}_2 着目すべきは,\ {1molのオゾン{O3}が1molのヨウ素I}_2に変わる}点である(1:1). これは,\ {ヨウ素の物質量の決定が実質的にオゾンの物質量の決定である}ことを意味している. 2回目の酸化還元反応の半反応式とイオン反応式は次のようになる(ヨウ素の定量). 酸化剤 I}_2 + {2e- 2}I}^- 還元剤 {2S2O3²- S4O6²- + 2e-} I}_2 + {2S2O3²- 2}I}^- + {S4O6²-} イオン反応式から,\ {1molのヨウ素I}₂と2molのチオ硫酸ナトリウムが反応する}ことがわかる. 以上を総合すると\ O3}:{Na2S2O3}=1mol:2mol}\ であり,\ 結局はこの比を考慮するだけである. この比を元にオゾンの物質量を求め,\ さらに体積と体積パーセント濃度を求めればよい. 酸化還元滴定は中和滴定のような指示薬が少なく,\ 酸化剤や還元剤の色の変化に頼らざるを得ない. そこで,\ オゾン(酸化剤)をチオ硫酸ナトリウム(還元剤)で直接滴定せずに一旦ヨウ素を経由する. {ヨウ素デンプン反応による色の変化は非常に鋭敏であり,\ 終点を明確に判断できる.} ヨウ素I}_2が残っているうちは青紫色,\ I}_2がすべてI}^-に還元されると色が消える. {還元剤のヨウ化物イオンI^-を用いて酸化剤を間接的に定量}するのがこの{ヨウ素還元滴定}である. ちなみに,\ 資源が少ない日本だがヨウ素は豊富であり,\ チリに次いで世界第2位の埋蔵量とされる.