工業的製法} \textbf{\textcolor{cyan}{液体空気の分留}}で得る. \\[1zh]
\textbf{実験的製法} \textbf{\textcolor{cyan}{亜硝酸アンモニウム水溶液}}を\textbf{\textcolor{orange}{加熱}}する. \\[.2zh]
$\textbf{\ce{NH4NO2 ->[][\textcolor{orange}{加熱}]} \textcolor{red}{\ce{N2 ^}} + \ce{2H2O}}$ (\textcolor[named]{ForestGreen}{自己酸化還元反応}) \\\\
\textbf{性質} \maru1\ \ 空気中に\textbf{体積で約78\%}存在する.\ \textbf{常温で安定な気体}だが,\ 高温では反応する. \\[.2zh]
\maru2\ \ \textbf{\textcolor{red}{液体窒素は冷却剤}}として利用される.
\ce{NH4NO2}\,の\ce{NH4^+}の\ce{N}\,(酸化数-\,3)から\ce{NO2^-}の\ce{N}\,(酸化数+\,3)に\ce{e-}\,が3個移動する. \\[.4zh]
これにより,\ 酸化数0の\ce{N2}\ が生じる. \\[1zh]
\bm{\ce{N2}\,は\ce{N#N}の結合エネルギーが大きいために安定しており,\ 貴ガスに次いで反応性が乏しい.}
アンモニア\ \ \ce{NH_3}}}\ \ (\ce{N}の酸化数 $-\,3$) \\[1zh]
\textbf{工業的製法} \textbf{\textcolor{red}{ハーバー・ボッシュ法}} \textbf{\textcolor{cyan}{窒素}と\textcolor{cyan}{水素}に\textcolor{Purple}{四酸化三鉄を触媒}}として加える. \\[.2zh]
{\boldmath $\ce{N2 + 3H2} \ce{->[\textcolor{Purple}{\ce{Fe3O4}},\ 高温・高圧] 2} \textcolor{red}{\ce{NH3}}$} (詳細は理論化学:化学平衡) \\\\
\textbf{実験室製法} \textbf{\textcolor{cyan}{塩化アンモニウム}}と\textbf{\textcolor{magenta}{水酸化カルシウム}}を\textbf{\textcolor{orange}{加熱}}する. \\[.2zh]
{\boldmath $\ce{2NH4Cl + Ca(OH)2 ->[][\textcolor{orange}{加熱}] CaCl2 + 2H2O + 2}\textcolor{red}{\ce{NH3 ^}}$}\ \ (\textcolor[named]{ForestGreen}{弱塩基の遊離}) \\\\[1zh]
塩基性}乾燥剤:\textcolor{cyan}{ソーダ石灰}}}}
アンモニアの実験的製法の図}}}
試験管の底部はやや高く}}}}
水の逆流を防ぐ}}}
上方}置換}}}
Ca(OH)2}}}}
NH4Cl}}}}
\textbf{性質} \maru1\ \ 分子量の割に\textbf{\textcolor{red}{沸点が異常に高い}}(\textcolor[named]{ForestGreen}{分子間に水素結合}が生じるから). \\[.8zh]
\maru2\ \ \textbf{無色\textcolor{cyan}{刺激臭}の気体で, \textcolor{red}{水によく溶け, 水溶液は弱塩基性}}を示す. \\[.2zh]
{\boldmath $\ce{NH3 + H2O <=> NH4+}+\textcolor{red}{\ce{OH-}}$} \\[1zh]
\maru3\ \ 検出$\begin{cases}
\bm{\textcolor{magenta}{塩化水素に触れると白煙}}を生じる. \ce{NH3 + HCl ->} \ce{NH4Cl}\ (\textcolor{magenta}{白煙}) \\[.2zh]
湿った\bm{\textcolor{red}{赤色リトマス紙}}を\bm{\textcolor{blue}{青変}}する. \\[.2zh]
水溶液中の\ce{NH4+}\,は,\ \bm{\textcolor[named]{ForestGreen}{ネスラー試薬}}で\bm{\textcolor[named]{BrickRed}{赤褐色の沈殿}}を生じる.
\end{cases}$ \\\\[.5zh]
\maru4\ \ \textbf{\textcolor{cyan}{アンモニア}}と\textbf{\textcolor{magenta}{二酸化炭素}}を高温・高圧で反応させると\textbf{\textcolor{red}{尿素}}が得られる. \\[.2zh]
$\bm{\ce{2NH3 + CO2 ->[高温・高圧]} \textcolor{red}{\ce{(NH2)2CO}} + \ce{H2O}}$ \\\\\\
一酸化窒素 \ce{NO}}}\ \ (\ce{N}の酸化数 $+\,2$) \\[1zh]
\textbf{製法} \textbf{\textcolor{cyan}{銅}}に\textbf{\textcolor{magenta}{希硝酸}}を加える. \\[.2zh]
$\bm{\ce{3Cu + 8HNO3 -> 3Cu(NO3)2 + 4H2O + 2}\textcolor{red}{\ce{NO ^}}}$ (\textcolor[named]{ForestGreen}{酸化還元反応}) \\[1zh]
\textbf{性質} \maru1\ \ \textbf{無色.} \maru2\ \ \textbf{\textcolor{magenta}{水に不溶}}. \\[.5zh]
\maru3\ \ \textbf{\textcolor{red}{空気中でただちに\ce{NO2}}}に変化する. \textbf{\ce{2NO + O2 -> 2NO2}} \\\\[1zh]
\textbf{\textcolor{blue}{二酸化窒素 \ce{NO_2}}}\ \ (\ce{N}の酸化数 $+\,4$) \\[1zh]
\textbf{製法} \textbf{\textcolor{cyan}{銅}}に\textbf{\textcolor{magenta}{\.{濃}硝酸}}を加える. \\[.2zh]
$\bm{\ce{Cu + 4HNO3 -> Cu(NO3)2 + 2H2O + 2}\textcolor{red}{\ce{NO2 ^}}}$ (\textcolor[named]{ForestGreen}{酸化還元反応}) \\[1zh]
\textbf{性質} \maru1\ \ \textbf{\textcolor[named]{BrickRed}{赤褐色.}} \\[.5zh]
\maru2\ \ \textbf{\textcolor{magenta}{水に溶け}},\ \textbf{\textcolor{red}{\ce{HNO3}}}を生成する. \textbf{\ce{3NO2 + H2O ->} \ce{2}\textcolor{red}{\ce{HNO3}} + \ce{NO}} \\[.5zh]
\maru3\ \ 常温では\textbf{\textcolor{cyan}{無色の四酸化二窒素と平衡状態}}にある. \textbf{\ce{2NO2 <=> N2O4}} \\\\[1zh]
% 王水(燈黄色) 濃硝酸と濃塩酸を$1:3$で混ぜたもの
\ce{NO}の製法 (酸化剤)\ \ \ce{HNO3 + 3H+ + 3e- -> 2H2O + NO} (還元剤)\ \ \ce{Cu -> Cu^2+ + 2e-} \\[.4zh]
(酸化剤)\times2+(還元剤)\times3\ より \ce{3Cu + 2HNO3 +6H+ -> 3Cu^2+ + 4H2O + 2NO} \\[.4zh]
\ce{H+}の由来は\ce{HNO3}\,と考えられるから,\ 両辺に\ce{NO3^-}を6個加えると完成である. \\[1zh]
\ce{NO2}\,の製法 (酸化剤)\ \ \ce{HNO3 + H+ + e- -> H2O + NO2} (還元剤)\ \ \ce{Cu -> Cu^2+ + 2e-} \\[.4zh]
後は\ce{NO}と同様にして作成できる. \\[1zh]
硝酸が生成する\ \ce{3NO2 + H2O -> 2HNO3 + NO}\ は\bm{温水における反応式}である. \\[.4zh]
特に断りがなければこの反応式を書けばよいが,\ 冷水という条件があれば,\ 次の反応式を書く. \\[.2zh]
\bm{冷水 \ce{2NO2 + H2O -> HNO3 + HNO2}} (硝酸と亜硝酸が生成) \\[1zh]
通常,\ 酸性酸化物(非金属の酸化物)に水を加えると,\ 対応する(酸化数が同じ)オキソ酸が生成する. \\[.2zh]
例えば,\ \ce{CO2}\,(\ce{C}の酸化数+\,4)に水を加えると,\ \ce{H2CO3}\,(\ce{C}の酸化数+\,4)が生成する. \\[.4zh]
しかし,\ \ce{NO2}\,(\ce{N}の酸化数+\,4)に対応するオキソ酸は存在しない. \\[.4zh]
そこで,\ \ce{HNO3}\,(+\,5)が生じるとき,\ 同時に\ce{NO}\,(+\,2)や\ce{HNO2}\,(+\,3)が生じる(自己酸化還元反応). \\[1zh]
化石燃料の燃焼で生じる\ce{NO},\ \ce{NO2}\,などの窒素酸化物は,\ \bm{\ce{NO}x\,(ノックス)}と総称される. \\[.4zh]
大気汚染物質であることに加え,\ 雨水に溶けると硝酸に変化し,\ \bm{酸性雨}(\text{pH}5.6以下)の原因となる. \\[.2zh]%光化学スモッグ
自動車のマフラー内には触媒があり,\ 排ガス中の\ce{NO}xを\ce{N2}\,や\ce{O2}\,などに無害化している.
硝酸 \ce{HNO_3}}}\ \ (\ce{N}の酸化数 $+\,5$) \\[1zh]
\textbf{工業的製法} \textbf{\textcolor{red}{オストワルト法}(\textcolor{Purple}{触媒:白金})} \\NH3}} & + & \ce{5O2} & \ce{->[\textcolor{Purple}{\ce{Pt}}]} & \ce{4NO} & + & \ce{6H2O} & \cdots\cdots\maru1 \\
& \ce{2NO} & + & \ce{O2} & \ce{->} & \ce{2NO2} &&& \cdots\cdots\maru2 \\
+ & \ce{3NO2} & + & \ce{H2O} & \ce{->} & \ce{2}\textcolor{blue}{\ce{HNO3}} & + & \ce{NO} & \cdots\cdots\maru3 \\ \hline
& \textcolor{red}{\ce{NH3}} & + & \ce{2O2} & \ce{->} & \textcolor{blue}{\ce{HNO3}} & + & \ce{H2O} &
\maru1 アンモニアを白金を触媒として酸化すると,\ 一酸化窒素と水が生じる(暗記). \\[.2zh]
\maru2 一酸化窒素は容易に酸化されて二酸化窒素になる. \\[.2zh]
\maru3 二酸化窒素と水を反応させると,\ 硝酸が生じる(温水).\ 同時に生じる\ce{NO}は\maru2で再利用する. \\[1zh]
合体反応式は,\ 次のように中間生成物の\ce{NO2}\,と\ce{NO}を消去して導かれる. \\[.4zh]
\text{[1]}\ \ \maru2\times3+\maru3\times2\ より,\ \ce{NO2}を消去する. \ce{4NO + 3O2 + 2H2O -> 4HNO3} \cdots\cdots\maru4 \\[.4zh]
\text{[2]}\ \ \maru1+\maru4\ より,\ \ce{NO}を消去する. \ \ \,\,\ce{4NH3 + 8O2 -> 4HNO3 + 4H2O} (4で割る) \\[.4zh]
微妙に予想しにくいので,\ \maru1,\ \maru3,\ 合体式は暗記を推奨したい. \\[.2zh]
\bm{合体式から,\ 1\text{\textbf{mol}}\,の\ce{NH3}\,から1\text{\textbf{mol}}\,の\ce{HNO3}\,が生じる}ことがわかる.
\textbf{実験的製法} \textbf{\textcolor{cyan}{硝酸ナトリウム}}に\textbf{\textcolor{magenta}{濃硫酸}}を加えて\textbf{\textcolor{orange}{加熱}}する. \\[.2zh]
$\bm{\ce{NaNO3 + H2SO4 ->[\textcolor{orange}{加熱}] NaHSO4} + \textcolor{red}{\ce{HNO3 ^}}}$ (\textcolor[named]{ForestGreen}{揮発性酸の遊離}) \\\\
\textbf{性質} \maru1\ \ \textbf{\textcolor{red}{強酸}}であり, かつ\textbf{\textcolor{red}{強い酸化作用}}も備える. \\[.2zh]
\ \ よって, \textbf{イオン化傾向の小さい\textcolor{magenta}{\ce{Cu}, \ce{Ag}, \ce{Hg}を加熱なしで溶かす.}} \\[.5zh]
\maru2 \ \textbf{\textcolor{blue}{\.{濃}硝酸}}は\ \textbf{\ruby{\textcolor{blue}{\ce{Fe}}}{\textcolor{magenta}{手}}\ \ruby{\textcolor{blue}{\ce{Ni}}}{\textcolor{magenta}{に}}\ \ruby{\textcolor{blue}{\ce{Al}}}{\textcolor{magenta}{ある}}\ \ruby{\textcolor{blue}{\ce{Cr}}}{\textcolor{magenta}{黒い}} \ruby{\textcolor{blue}{\ce{Co}}}{\textcolor{magenta}{コーラ}}}\ を\textbf{\textcolor{red}{不動態}}にする. \\[.5zh]
\maru3 \ \textbf{\textcolor{cyan}{\.{濃}硝酸は光や熱で分解する}}ので, \textbf{\textcolor{red}{褐色瓶に入れ, 冷暗所で保存}}する. \\\\[1zh]
\maru2\ \ \bm{不動態 強い酸化作用により,\ 表面に緻密な酸化皮膜ができて反応性が失われた状態.} \\[.2zh]
\ \ 不導体(電気を通さない物体)ではないので注意!
\maru3\ \ 光や熱による分解時の反応式 \ce{4HNO3 -> 4NO2 + 2H2O + O2} \\[.4zh]
\ \ 硝酸は無色だが,\ 光や熱で分解すると\ce{NO2}の影響で徐々に黄色みを帯びる. \\[1zh]
\ce{NH3}\,と\ce{HNO3}\,の工業的製法は,\ どこにでもある空気と水を窒素肥料に変えたことに意義がある. \\[.4zh]
\bm{窒素は肥料の三要素(\ce{N},\ \ce{P},\ \ce{K})の1つ}であり,\ 農作物の成長に大量に必要となる. \\[.2zh]
窒素肥料の例 \ce{(NH4)2SO4}\,(\rubytiny{硫安}{りゅうあん}),\ \ce{NH4NO3}\,(\rubytiny{硝安}{しょうあん}),\ \ce{NH4Cl}\,(\rubytiny{塩安}{えんあん}),\ \ce{(NH2)2CO\,(尿素)}
オストワルト法でアンモニア6.8\,kgを完全に硝酸にしたとすると,\ 60\%硝酸は何kg \\[.2zh]
NH3 + 2O2 -> HNO3 + H2O}}\ より,\ \textcolor{red}{1molの\ce{NH3}\,から1molの\ce{HNO3}\,が生成する.} \\[.5zh]
$\ce{NH3}は,\ \bunsuu{6800\ \text{[g]}}{17\ \text{[g/mol]}}=400$ [mol]\ ある. \\[.4zh]
よって,\ 得られる\ce{HNO3}は400 [mol] である.\ その質量は\ $63\times400=25200$\ [g] \\[1zh]
\centerline{$\therefore 得られる60\%硝酸は
原子量を\ \ce{H}=1,\ \ce{N}=14,\ \ce{O}=16\ とすると,\ \ce{NH3}=17,\ \ \ce{HNO3}=63 \\[.4zh]
本問で注意すべきは,\ \bm{次のように接触法と同様に考えると間違える}ことである. \\[.2zh]
\ce{4NH3 + 5O2 -> 4NO + 6H2O}より,\,1\text{mol}の\ce{NH3}\,から1\text{mol}の\ce{NO}\,が得られる.\,(\ce{NH3}:\ce{NO}=4:4)\\[.4zh]
\ce{2NO + O2 -> 2NO2
\ce{3NO2 + H2O -> 2HNO3 + NO}\ において,\ \ce{N}原子は\ce{HNO3}\,の他に\ce{NO}にも分配されている. \\[.4zh]
よって,\ これではアンモニア\ce{NH3}\,が完全に\ce{HNO3}\,になったとはいえない. \\[.4zh]
結局,\ \bm{合体反応式で考えなければならない}のである. \\[1zh]
\bm{硝酸は,\ \ce{HNO3}\,分子と\ce{H2O}分子の混合物}である. \\[.4zh]
題意は,\ \bm{「\ce{HNO3}\,と\ce{H2O}の混合物(\ce{HNO3}\,が60\%,\ \ce{H2O}が40\%)が何\,\textbf{kg}得られるか」}である. \\[.4zh]
\ce{NH3}\,の物質量(\text{mol})から\ce{HNO3}\,の質量25200\,\text{g}が求まる. \\[.4zh]
これは,\ \bm{\ce{HNO3}\,分子(60\%分)だけで25200\,\text{g}ある}ことを意味している. \\[.4zh]
硝酸の質量は,\ これに残り40\%を占める\ce{H2O}分子の質量を加えて100\%にしたものである. \\[.4zh]
よって,\ 60\,[\%]:25200\,[\text{g}]=100\,[\%]:x\,[\text{g}]\ を求めることになる. \\[.4zh]
\bm{決して,\ 25200\text{g}の60\%を求めるわけではない}ことに注意してほしい.