ちなみに、本問の正攻法は 整数:2乗で下2桁が変わらない自然数 で取り上げている。
教師 「次の問題の答案を本番のつもり}で作成してください」1から6までの目がそれぞれ$16$の確率で出るさいころを同時に3個投げるとき,\ 目の
積が10の倍数になる確率を求めよ. [東京工業大]
このような問題が出題されると,\ 難関大学受験生の中に最終手段をとる学生が現れる.
答案用紙$>$ \
下線を引いたものが目の積が10の倍数となる組合せである.
以上より,\ 求める確率は
これが難関大学受験生が見せる執念の解答である.
試験中に「全部書き出せばいけるのではないか」と思いつくわけではない.
試験が始まる前から,\ いざというときは全部書き出す覚悟をもって挑んでいる.
一旦決断してしまえさえすれば,\ 中学レベルの問題と化す.
これだけの覚悟・気概・合格への執念を持っているのが難関大学受験生である.
彼らは,\ おそらく時間とスペースさえあれば総数が1万通りであっても書き出すだろう.
その姿勢がない受験生は,\ 数学力以前に気持ちですでに敗北しているのである.
何もこの戦略を推奨しているわけではない.\ この戦略には重大なリスクがある.
1箇所でも間違えると0点になる可能性が高いことである.
まさに0点か満点かというハイリスクハイリターンの戦略である.
また,\ 単純な戦略ではあるが決して簡単な戦略ではない.
おそらく,\ 並レベルの学生では実行できないだろう.\ 仮に実行したとしても大概失敗する.
この戦略の完遂には以下のような能力が必要になるからである.
\ 限られた時間内での完遂の可能性を予測できるだけの判断力・戦略力
\ ハイリスクハイリターンの戦略を最終選択する決断力
\ 実際に数十分かけてやり続ける実行力・集中力・忍耐力・精神力
\ 限られた時間内での完遂を可能にする処理能力・速記力
早い段階で次のように考えて覚悟を決め,\ 直ちに実行しなければならない.
「1つあたり4秒としても$2164=864\ (秒)<15\ (分)$か.\ よし,\ いける」} これが実際に可能なのは,\ 結局難関大学受験生ということになる. 例としてすべて書き出したが,\ 5を含まないものを除くなど工夫次第でより簡潔に済む. この戦略の真の目的は規則性の発見にある. 多くの受験生には,\ 具体的に実験して法則を見つけ出そうという精神が不足している. 公式やパターンを暗記してあてはめるという定期試験数学に慣れすぎているせいである. しかし,\ 入試数学は定期試験数学とは異なり,\ 一見して解法がわかる問題ばかりではない. 多くの受験生が手を動かさずに延々と問題を眺め続けた挙句,\ 結局何もせずに終わる. 頭の中で考え続けていればうまい解法がひらめくと考えているならば大間違いである. わかならいときこそ頭より手を必死に動かして状況の打破を試みなければならない. 必死に手を動かして試行錯誤した結果,\ 正答に結びつく解法が思い浮かぶのである. このような戦略が重要になるのは場合の数・確率分野だけではない. 整数分野や数列分野でも重要である.\ もう1例示そう. まずは試行錯誤するという姿勢がなければ,\ 想像を絶する惨劇に見舞われうる. 出題者 「高校生の3年間のすべてを否定してやろう」} 2桁の自然数のうち,\ その2乗と下2桁が一致するものを全て求めよ. (50点) {試験官 「制限時間20分.\ はじめ!」} 小学生 「${10²=100,11²=121,}$」} 高校生 「う~ん$$何かうまい解法は$$」} 教師 「5分経過したのにまだ白紙?\ 頭よりとにかく手動かして!」} 高校生 「そんなこと言われても$$う~ん$$う~ん$$」} 小学生 「${,24²=576,25²=625}$,1つ見っけた!」} 教師 「10分経過.\ 何でもいいからできることやって!」} 高校生 「いや,\ でも$$解法が$$」} 教師 「でもも糞もないって!終わってしまうって!」} 小学生 「${,42²=1764,43²=1849,}$」} 試験官 「20分経過.\ そこまで!!!」} 教師 「あ~あ」} 採点官 「おお.\ 小学生の君は1個見つけたのか.\ 10点あげるね」} 小学生 「わーい!ありがとー!」} 採点官 「あっ,\ 白紙の高校生の君は当然0点ね」} 高校生 「あ$$あ$$ああ$$」} 教師 「だからあれほど言ったのに$$」} まずは頭より手を動かす.\ 1つの手段として実際に2乗してみる方法が考えられる. とにもかくにも実際にやってみないことには始まらない. もし途中で規則性に気付ければ,\ 下に示したような答案を作成することもできるだろう. 仮に気付けなくても,\ 計算力さえあれば完遂できる可能性もある. 2桁の自然数は90個あるから,\ 1個平均10秒なら900秒(15分)である. $10²=100,11²=121,12²=144,13²=169,14²=196,$ $15²=225,16²=256,17²=289,18²=324,19²=361,$ $20²=400,21²=441,22²=484,23²=529,24²=576,$ $25}²=625},26²=676,27²=729,28²=784,29²=841,$ ここで,\ 下2桁が一致するには下1桁が一致しなければならない. 2乗で下1桁が一致するには,\ 元の自然数の一の位が0,\ 1,\ 5,\ 6でなければならない. また,\ 一の位が0の2桁の自然数を2乗すると下2桁は00となるから条件を満たさない. よって,\ 一の位が1,\ 5,\ 6の自然数のみ調べることにする. $31²=961,35²=1225,36²=1296$ $41²=1681,45²=2025,46²=2116$ $51²=2601,55²=3025,56²=3136$ $61²=3721,65²=4225,66²=4356$ $71²=5041,75²=5625,76}²=5776}$ $81²=6561,85²=7225,86²=7396$ $91²=8281,95²=9025,96²=9216$ 以上より,\ 求める2桁の自然数は 25,76}
積が10の倍数になる確率を求めよ. [東京工業大]
このような問題が出題されると,\ 難関大学受験生の中に最終手段をとる学生が現れる.
答案用紙$>$ \
下線を引いたものが目の積が10の倍数となる組合せである.
以上より,\ 求める確率は
これが難関大学受験生が見せる執念の解答である.
試験中に「全部書き出せばいけるのではないか」と思いつくわけではない.
試験が始まる前から,\ いざというときは全部書き出す覚悟をもって挑んでいる.
一旦決断してしまえさえすれば,\ 中学レベルの問題と化す.
これだけの覚悟・気概・合格への執念を持っているのが難関大学受験生である.
彼らは,\ おそらく時間とスペースさえあれば総数が1万通りであっても書き出すだろう.
その姿勢がない受験生は,\ 数学力以前に気持ちですでに敗北しているのである.
何もこの戦略を推奨しているわけではない.\ この戦略には重大なリスクがある.
1箇所でも間違えると0点になる可能性が高いことである.
まさに0点か満点かというハイリスクハイリターンの戦略である.
また,\ 単純な戦略ではあるが決して簡単な戦略ではない.
おそらく,\ 並レベルの学生では実行できないだろう.\ 仮に実行したとしても大概失敗する.
この戦略の完遂には以下のような能力が必要になるからである.
\ 限られた時間内での完遂の可能性を予測できるだけの判断力・戦略力
\ ハイリスクハイリターンの戦略を最終選択する決断力
\ 実際に数十分かけてやり続ける実行力・集中力・忍耐力・精神力
\ 限られた時間内での完遂を可能にする処理能力・速記力
早い段階で次のように考えて覚悟を決め,\ 直ちに実行しなければならない.
「1つあたり4秒としても$2164=864\ (秒)<15\ (分)$か.\ よし,\ いける」} これが実際に可能なのは,\ 結局難関大学受験生ということになる. 例としてすべて書き出したが,\ 5を含まないものを除くなど工夫次第でより簡潔に済む. この戦略の真の目的は規則性の発見にある. 多くの受験生には,\ 具体的に実験して法則を見つけ出そうという精神が不足している. 公式やパターンを暗記してあてはめるという定期試験数学に慣れすぎているせいである. しかし,\ 入試数学は定期試験数学とは異なり,\ 一見して解法がわかる問題ばかりではない. 多くの受験生が手を動かさずに延々と問題を眺め続けた挙句,\ 結局何もせずに終わる. 頭の中で考え続けていればうまい解法がひらめくと考えているならば大間違いである. わかならいときこそ頭より手を必死に動かして状況の打破を試みなければならない. 必死に手を動かして試行錯誤した結果,\ 正答に結びつく解法が思い浮かぶのである. このような戦略が重要になるのは場合の数・確率分野だけではない. 整数分野や数列分野でも重要である.\ もう1例示そう. まずは試行錯誤するという姿勢がなければ,\ 想像を絶する惨劇に見舞われうる. 出題者 「高校生の3年間のすべてを否定してやろう」} 2桁の自然数のうち,\ その2乗と下2桁が一致するものを全て求めよ. (50点) {試験官 「制限時間20分.\ はじめ!」} 小学生 「${10²=100,11²=121,}$」} 高校生 「う~ん$$何かうまい解法は$$」} 教師 「5分経過したのにまだ白紙?\ 頭よりとにかく手動かして!」} 高校生 「そんなこと言われても$$う~ん$$う~ん$$」} 小学生 「${,24²=576,25²=625}$,1つ見っけた!」} 教師 「10分経過.\ 何でもいいからできることやって!」} 高校生 「いや,\ でも$$解法が$$」} 教師 「でもも糞もないって!終わってしまうって!」} 小学生 「${,42²=1764,43²=1849,}$」} 試験官 「20分経過.\ そこまで!!!」} 教師 「あ~あ」} 採点官 「おお.\ 小学生の君は1個見つけたのか.\ 10点あげるね」} 小学生 「わーい!ありがとー!」} 採点官 「あっ,\ 白紙の高校生の君は当然0点ね」} 高校生 「あ$$あ$$ああ$$」} 教師 「だからあれほど言ったのに$$」} まずは頭より手を動かす.\ 1つの手段として実際に2乗してみる方法が考えられる. とにもかくにも実際にやってみないことには始まらない. もし途中で規則性に気付ければ,\ 下に示したような答案を作成することもできるだろう. 仮に気付けなくても,\ 計算力さえあれば完遂できる可能性もある. 2桁の自然数は90個あるから,\ 1個平均10秒なら900秒(15分)である. $10²=100,11²=121,12²=144,13²=169,14²=196,$ $15²=225,16²=256,17²=289,18²=324,19²=361,$ $20²=400,21²=441,22²=484,23²=529,24²=576,$ $25}²=625},26²=676,27²=729,28²=784,29²=841,$ ここで,\ 下2桁が一致するには下1桁が一致しなければならない. 2乗で下1桁が一致するには,\ 元の自然数の一の位が0,\ 1,\ 5,\ 6でなければならない. また,\ 一の位が0の2桁の自然数を2乗すると下2桁は00となるから条件を満たさない. よって,\ 一の位が1,\ 5,\ 6の自然数のみ調べることにする. $31²=961,35²=1225,36²=1296$ $41²=1681,45²=2025,46²=2116$ $51²=2601,55²=3025,56²=3136$ $61²=3721,65²=4225,66²=4356$ $71²=5041,75²=5625,76}²=5776}$ $81²=6561,85²=7225,86²=7396$ $91²=8281,95²=9025,96²=9216$ 以上より,\ 求める2桁の自然数は 25,76}