
酸化物の中和反応
酸化物の分類
非金属の酸化物 酸性酸化物 例 NO₂, CO₂, SO₃, SO₂
金属の酸化物 塩基性酸化物 例 Na₂O, K₂O, CaO, BaO
両性金属の酸化物 両性酸化物 例 Al₂O₃, ZnO, SnO, PbO
塩基性酸化物+酸 → 塩+水
例 CaO+2HCl → CaCl₂+H₂O
例 Na₂O+H₂SO₄ → Na₂SO₄+H₂O
酸性酸化物+塩基 → 塩+水
例 CO₂+Ca(OH)₂ → CaCO₃+H₂O
例 SiO₂+2NaOH → Na₂SiO₃+H₂O
酸性酸化物+塩基性酸化物 → 塩
例 CO₂+CaO → CaCO₃
塩基性酸化物は酸と, 酸性酸化物は塩基と中和反応する.
また, 酸性酸化物と塩基性酸化物も中和反応する. ただし, この場合は水は生じない.
両性酸化物は酸・塩基両方と反応するが, やや複雑で別物に近いので当カテゴリでは扱わない.
「無機化学:金属元素カテゴリの両性金属元素」で扱う.
酸化物の中和反応は, 前項の理解があれば, 以下のように2, 3段階を経ての反応と理解できる.
CaOとHClの中和反応
CaO+H₂O → Ca(OH)₂ (塩基性酸化物+水→水酸化物)
Ca(OH)₂+2HCl → CaCl₂+2H₂O (塩基Ca(OH)₂と酸HClの中和反応)
CaO+2HCl → CaCl₂+H₂O
CO₂とCa(OH)₂の中和反応
CO₂+H₂O → H₂CO₃ (酸性酸化物+水→オキソ酸)
H₂CO₃+Ca(OH)₂ → CaCO₃+2H₂O (酸H₂CO₃と塩基Ca(OH)₂の中和反応)
CO₂+Ca(OH)₂ → CaCO₃+H₂O
CO₂とCaOの中和反応
CO₂+H₂O → H₂CO₃ (酸性酸化物+水→オキソ酸)
CaO+H₂O → Ca(OH)₂ (塩基性酸化物+水→水酸化物)
H₂CO₃+Ca(OH)₂ → CaCO₃+2H₂O (酸H₂CO₃と塩基Ca(OH)₂の中和反応)
CO₂+CaO → CaCO₃
アルカリ金属以外の炭酸塩は, 加熱すると「CO₂+塩基性酸化物→炭酸塩」の逆反応が起こる.
例 CaCO₃ →(加熱) CaO+CO₂ (熱分解)
問い BaOにHClを加えると?
BaOは塩基性酸化物, HClは酸であるから, 中和反応して塩と水ができるはずである.
よって BaO+2HCl → BaCl₂+H₂O
問い SO₂にKOHを加えると?
SO₂は酸性酸化物, KOHは塩基であるから, 中和反応して塩と水ができるはずである.
よって SO₂+2KOH → K₂SO₃+H₂O
※ SO₂からできる塩の陰イオンはSO₃²⁻である. S²⁻ではない.
SO₂と水でできるオキソ酸がH₂SO₃だからである.
原理の理解があって初めて反応式を作成できるわけである.
問い CO₂とBaOを反応させると?
CO₂は酸性酸化物, BaOは塩基性酸化物であるから, 中和反応して塩ができるはずである.
よって CO₂+BaO → BaCO₃
