記述試験は「解ける」だけでは勝てない
大学入学共通テストが終わった瞬間から、国立大学2次試験の記述対策が始まる。
また、それ以前に私立大学の記述試験がある受験生も多い。共通テストに集中している間に忘れた部分の解き直し、過去問演習など、やるべきことは膨大である。
その中で、多くの受験生が軽視してしまうのが、本番を想定した「答案作成」の練習である。
受験生は解けるかどうかに意識が向きすぎて、答案を書く技術が得点にどれほど影響するかを理解していない。
その結果、非常にもったいない答案が大量生産されているのが現実である。
受験生だけの問題ではない。答案の書き方を学校や塾で習わないことも一因である。
どのように答案を書くべきかがわからず、学校の定期試験や予備校の外部模試と同じ感覚で記述したり、問題集や参考書の簡潔な解答を絶対的なものだと思い込み、それを真似て記述したりしてしまっているのである。
その結果、次のような惨劇に見舞われることになりかねない。
定期試験・外部模試と入試本番は本質的に別物
大学入試における記述問題は、学校や模試とは性質が根本的に異なる。
学校の試験や予備校模試は絶対評価であり、あらかじめ決められた基準に沿って機械的に採点される。
一方、本番の大学入試は相対評価であり、「どこまで解けたか」よりも「他の受験生をどれだけ上回れたか」が重要である。
受験生同士のわずかな差を可視化し、選抜するための試験である以上、採点者は細かい部分まで差別化せざるを得ない。
つまり、「数学力は同程度でも、答案の書き方ひとつで順位が変わる」
これが記述式入試の本質である。
実際の試験では、問題集や参考書のように“美しい完全解答”を書く必要はない。
むしろ、受験生ならではの泥臭い記述のほうが得点に結びつく場合が多い。
当カテゴリでは、本番の記述試験でできる限り部分点を確保するための答案作成テクニックを紹介する。
以下の警告をよく読んで理解した上で活用して欲しい。
警告
採点基準に関しては 大学入試数学の採点基準 でも取り上げているが、これはあくまで「参考」にすぎない。採点基準に関して絶対的に言えることは、「採点基準に関して絶対的に言えることはない」ということだけである(うまいこと言ったつもり)。
「この答案は50点満点で何点もらえますか」「この公式は無断使用できますか」など、採点基準に関するいかなる質問に対しても「わからない」「場合による」としか返答しようがない。大学入試は相対評価であり、大学ごとに受験生のレベルや試験難易度が異なるのだから当然である。
当カテゴリのテクニックを使えば、どの大学でもどんな問題でも高評価が得られる……という保証は一切ない。
場合によっては逆効果になる可能性すらある。
あくまでも「こういう発想もある」「こういう書き方もある」という提案・紹介である。テクニックの理念をよく理解した上で活用してほしい。
経験上、大学のレベルが上がるほど、小手先の答案テクニックは通用しづらい。 中堅国立大学以下を志望する受験生と、上位国立大学以上を志望する受験生の間には大きな隔たりがある。 レベルの高い受験生は、皆がある程度しっかりした答案を作るため、最終的には純粋な数学力で勝負になる。
よって、このカテゴリの内容はおおよそ中堅国立以下の大学を想定したものである。
答案作成テクニックも重要だが、当然ながら数学力を真っ当に高める努力が前提である。
「高校範囲外の知識を無断使用できますか?」という問いに対しては、以下のページが参考になるだろう。
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