クロムCr・マンガンMnとその化合物

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chromium-manganese-mercury
クロム・マンガンとその化合物 クロムCr(第4周期6族, +3, +6) ① Crは硬く, 常温での安定性が高いので, めっきや合金に広く用いられる.  合金   ステンレス鋼:鉄FeとクロムCrの合金. 錆びにくい. 台所用品.   ニクロム:ニッケルNiとクロムCrの合金. 電気抵抗大. 電熱線. ② Crは希塩酸や希硫酸には溶けるが, 濃硝酸には不動態となり溶けない.  濃硝酸で不動態となる金属ゴロ合わせ  「硝酸翔さんの手にある黒いコーラ」= Fe, Ni, Al, Cr, Co. ③ 二クロム酸イオンとクロム酸イオンの平衡(酸化還元反応ではない)  Cr₂O₇²⁻(+6) ⇄ CrO₄²⁻(+6)  二クロム酸イオン(橙赤色) ⇄ クロム酸イオン(黄色)  酸性条件では左に, 塩基性条件では右に移動する(ルシャトリエの原理). ④ 二クロム酸イオンは酸性溶液中で強い酸化作用を示す(自身は還元).  Cr₂O₇²⁻(+6) → Cr³⁺(+3)  二クロム酸イオン(橙赤色) → クロムイオン(暗緑色) ⑤ クロム酸イオンCrO₄²⁻は, 水溶液中で Ag⁺, Pb²⁺, Ba²⁺ と反応し,  Ag₂CrO₄(赤褐色), PbCrO₄(黄色), BaCrO₄(黄色)の沈殿を生じる. 〔補足〕 ① 合金の「ニ」クロムは「ニ」ッケル, 「二」クロム酸イオンは「2」個のクロムである. ② 水素よりもイオン化傾向が大きい:  Al > Mn > Zn > Cr > Fe > Ni > Sn > Pb > (H₂) ③ 二クロム酸カリウムK₂Cr₂O₇(橙赤色結晶)は, 水に溶けて二クロム酸イオンCr₂O₇²⁻(橙赤色)を生じる.  クロム酸カリウムK₂CrO₄(黄色結晶)は, 水に溶けてクロム酸イオンCrO₄²⁻(黄色)を生じる.  Cr₂O₇²⁻ + OH⁻ ⇄ 2CrO₄²⁻ + H⁺  塩基性にしてOH⁻が増えると右へ, 酸性にしてH⁺が増えると左へ移動. ④ Cr₂O₇²⁻ + 14H⁺ + 6e⁻ → 2Cr³⁺ + 7H₂O  酸化数+6のCrを含む化合物(六価クロム)は, 酸化作用に起因する強い毒性がある. ⑤ ゴロ合わせ:「苦労(CrO₄²⁻)して赤い銀貨(Ag)と黄色いバ(Pb)ナ(Ba)ナを買う」  イオン化傾向の大きいアルカリ金属は沈殿しないので, PbをNaと混同する心配はない. マンガンMn(第4周期7族, +2, +4, +7) ① Mnは鉄よりもイオン化傾向が大きく, 空気中で容易に酸化される. ② 過マンガン酸カリウムKMnO₄  黒紫色の針状結晶. 水に溶けて赤紫色の過マンガン酸イオンMnO₄⁻を生じる.  MnO₄⁻は酸性溶液中で強い酸化作用を示す(自身は還元).  MnO₄⁻(+7) → Mn²⁺(+2)  過マンガン酸イオン(赤紫色) → マンガンイオン(淡桃色; ほぼ無色) ③ 酸化マンガン(IV) MnO₂  黒色粉末(水に不溶). 乾電池の正極活物質のほか, 触媒や酸化剤として用いられる.  触媒(自身は反応しない)  2H₂O₂ →[MnO₂] 2H₂O + O₂↑  酸化剤(自身は還元される)  MnO₂ + 4HCl → MnCl₂ + 2H₂O + Cl₂↑ 〔補足〕 ② Mnは酸性溶液中ではMn²⁺(+2), 中性・塩基性溶液中ではMnO₂(+4)が安定.  したがってKMnO₄は酸性条件下でより強い酸化力を示す.  酸性条件:MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O (+7→+2)  中性・塩基性条件:MnO₄⁻ + 2H₂O + 3e⁻ → MnO₂↓ + 4OH⁻ (+7→+4) ③ 以前は二酸化マンガンとしていたが, 現在は「酸化マンガン(IV)」と表記される.
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