基本的な数学的帰納法②:不等式の証明

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nを5以上の自然数とするとき,n²<2^n0}\ を示すことになる. >0\ を示すときに一工夫必要になることも多いので,\ 等式の証明よりも難易度が高くなる. また,\ 等式の証明の場合と同様に,\ あらかじめ最終結果を書いておくことも重要である(下線部). を示すには,\ 仮定\ k²<2^k\ を利用して2^{k+1}-(k+1)²>0を示す必要がある. 仮定2^k>k²を利用するため,\ {無理矢理2^kの形を作り出す.} 等式の場合に代入するのと同様にして,\ {2^kにk²を代入する.}\ ただし,\ 等号ではなく{不等号}になる. 不等式の場合に仮定をうまく利用できない人が多いが,\ 不等号になる以外は等式の場合と同じである. 計算するとkの2次式となるから,\ これが正であることを示す.\ k²-2k-1>0は自明ではない. 2次式の取りうる値の範囲(最大最小)を考えるときは,\ {平方完成}するのであった. k5より(k-1)²16であるから,\ (k-1)²-214>0である. の証明においても仮定k!>2^kを使うため,\ {無理矢理k! を作り出す.} {(k+1)!=(k+1) k!}\ は,\ 本問に限らずよく使う変形である. 例えば,\ 4!=43!\ であるのは当然だろう. さらに,\ {指数の和・差は,\ 指数を小さい方にそろえて因数分解}する. 指数を大きい方にそろえようとすると,\ 分数になってしまい厄介だからである. k5\ を考慮すると,\ 正であることが示される. \$nを2以上の自然数とするとき,\ Σ{1}{k²}<2-1n\ が成立することを証明せよ.$ Σのままだとわかりづらいので,\ 和の形に書き下し考えるとよい. (2-{1}{k+1})-{1++{1}{k²}+{1}{(k+1)²>0を示すことが目標である. この中で,\ 1++{1}{k²}\ の部分に仮定が適用できそうである. {不等号を用いつつ,\ 1++{1}{k²}の部分を\ 2-1k\ に置き換える.} このとき,\ {不等号の向きに特段の注意が要る.} 1++{1}{k²}\ には,\ -がかかっている. よって,\ {-(1++{1}{k²})>-(2-1k)}\ と考えて適用しなければならない. あるいは,\ 1++{1}{k²}より大きい2-1kを引いた式の方が値が小さくなると考えてもよい. 最後は以下のように計算でき,\ k2も考慮して正であることが示される.