対称移動に関連して,\ 偶関数・奇関数という概念がある. 特に,\ 微分・積分においては,\ 偶関数・奇関数を意識していると,\ 計算量・思考量を大幅に減らせることがよくある. 偶関数・奇関数の対称性から,\ $x0$の範囲の考察で十分となるからである. 偶関数とは,\ ${y軸対称である関数のことである.$ 0.98}{${y=(定数) が代表的な偶関数である.$} 整関数においては,\ 偶数次}ならば偶関数}である. 一般の関数${y=f(x)}$が,\ 偶関数か否かを識別する方法を確認する. $y軸に関する対称移動は,\ yを固定して,\ x→-x\ とすればよかった.$ 逆に言えば,\ $x → -x\ としたとき,\ yが変化しなければ,\ y軸対称である.$ 数式で示すと,\ yellow}{${f(-x)=f(x)$}で,\ これが偶関数であるための条件となる. 実際には,\ $x→-xとしてみて,\ 元の式と一致するかを見る.$ つまり,\ ${f(-x)を変形していって,\ f(x)になれば偶関数であるといえる.$ $例として,\ f(x)={1}{x²+1}\ が偶関数か否かを調べてみよう \ {偶関数}$ 奇関数とは,\ 原点対称である関数のことである. ${y=x,\ y=x^{3,\ y=x^{5\ }\ や\ {y=sin x}が代表的な奇関数である.$ 整関数においては,\ 奇数次}ならば奇関数}である. 一般の関数${y=f(x)}$が,\ 奇関数か否かを識別する方法を確認する. 原点に関する対称移動は,\ $x→-x,\ y→-y$とすればよかった. 逆に言えば,\ $x→-x$としたとき,\ $y→-y$となれば,\ 原点対称である. 数式で示すと,\ yellow}{${f(-x)=-f(x)$}で,\ これが奇関数であるための条件となる. $つまり,\ {f(-x)を変形していって,\ -f(x)になれば奇関数であるといえる.$ $例として,\ f(x)={x³}{x²+1}\ が奇関数か否かを調べてみよう.$ 偶関数と奇関数の掛け算には,\ 次に示す重要な性質がある. これは,\ 偶数と奇数の\namikasen{足し算}と類似している(掛け算ではない!}). また,\ 対称式と交代式の掛け算の関係と一致している. 理由は,\ $h(x)=f(x)g(x)として,\ h(-x)を計算してみるとわかる.$ $\ f(x)とg(x)が偶関数ならば,\ f(-x)=f(x),\ g(-x)=g(x)$ $ h(-x)=f(-x)g(-x)=f(x)g(x)=h(x) \ h(x)は偶関数$ $\ f(x)が偶関数,\ g(x)が奇関数ならば,\ f(-x)=f(x),\ g(-x)=-g(x)$ $ h(-x)=f(-x)g(-x)=f(x){-g(x)}=-h(x) \ h(x)は奇関数$ $\ f(x)とg(x)が奇関数ならば,\ f(-x)=-f(x),\ g(-x)=-g(x)$ $ h(-x)=f(-x)g(-x)={-f(x)}{-g(x)}=h(x) \ h(x)は偶関数$ $先の例\ {x³}{x²+1}\ において,\ x³{1}{x²+1}と考えると,$ $(奇関数)(偶関数)=(奇関数)\ の関係であったことがわかる.$ 関数の偶奇性も重要だが,\ それ以上に対称性そのものが重要である. 特に,\ ${x}$軸対称・${y}$軸対称・原点対称の3つに気付けるか否かの差は大きい.} 関数$y=f(x)$\ (陽関数表示)を,\ $F(x,\ y)=0$\ (陰関数表示)で表すと 直線y=xに関して対称} F(x},\ y})=F(y},\ x}) 直線y=qに関して対称} F(x,\ y})=F(x,\ 2q-y}) 直線x=pに関して対称} F(x},\ y)=F(2p-x},\ y) 点(p,\ q)に関して対称}