陽イオン交換樹脂 スチレン(ビニルベンゼン)と${p}$–ジビニルベンゼンを共重合させる. すると,\ 三次元網目状構造をもつポリスチレン樹脂ができる. さらに濃硫酸でスルホン化すると,\ ポリスチレンスルホン酸樹脂となる. {スチレン}ジビニルベンゼン ポリスチレンスルホン酸樹脂} 酸性基を多く含む樹脂は,\ \電離した{H+}と溶液中の他の陽イオンとを交換できる. 樹脂の使用後は,\ そのままでは交換能力が失われたままである. そこで,\ 使用後の樹脂に希塩酸や希硫酸などの強酸性溶液を通す(多量の{H+}を加える). すると,\ {逆反応が起こって再び{- SO₃H}に戻り,\ 交換能力を取り戻す. これを\イオン交換樹脂の再生という. 再生後,\ 塩酸が流出しなくなるまで十分に蒸留水で洗浄する. 陰イオン交換樹脂 ポリスチレン樹脂に塩基性基{- N+(CH₃)3}(トリメチルアンモニウム基)を導入する. さらに強塩基で処理すると,\ 水酸化物{- N+(CH₃)3OH-}となる. 塩基性基を多く含む樹脂は,\電離した{OH-}と溶液中の他の陰イオンとを交換できる. 使用後,\ \水酸化ナトリウム溶液などの強塩基性溶液を通すと再生する. イオン交換樹脂の利用 陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂混合物をカラム(円筒状容器)に詰める. 上から食塩水を通すと,\ {Na+}は{H+}に,\ {Cl-}は{OH-}に交換され,\ 下からH₂Oが流出する. このような陽イオンや陰イオンを含まない水を脱イオン水という. なお,\ イオン交換樹脂では非電解質(イオンでない物質)や有機化合物は除去できない. }十分量の陽イオン交換樹脂を詰めた管に濃度不明の硫酸銅(II)水溶液10mLを通し,\ 流出液を0.10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で滴定したところ,\ 40mLを要した. 硫酸銅(II)水溶液のモル濃度を求めよ. 化学反応式より,\ 1molの{Cu²+}が2molの{H+}に交換}される. 硫酸銅(II)水溶液のモル濃度を$x$[mol/L]とする. {Cu²+}は$(x{10}{1000})$molあったから,\ 流出液中に{H+}は\ $(x{10}{1000}2)$mol}ある. の記述に当てはまるものを,\ 次の3つのアミノ酸から全て選べ. アラニン\ (等電点6.0), グルタミン酸\ (等電点3.2), リシン\ (等電点9.7) pH9の緩衝液に溶解させたとき,\ 陰イオン交換樹脂に吸着するもの. pH6の緩衝液に溶解させたとき,\ 陽イオン交換樹脂に吸着するもの. pH6の緩衝液に溶解させたとき,\ 陰イオン交換樹脂に吸着するもの. pH4の緩衝液に溶解させたとき,\ 陽イオン交換樹脂に吸着するもの. アラニン,グルタミン酸} リシン} グルタミン酸} \;アラニン,リシン アミノ酸は,\ 水溶液中では陽イオン・双性イオン・陰イオンが平衡状態にある. 水溶液のpH}が変化すると平衡が移動し,\ それぞれのイオンの割合が変化する. pH}が小さい({H+}が多い)ほど,\ {H+}を受け取って陽イオンの割合が増える. 逆に,\ pH}が大きい({H+}が少ない)ほど,\ {H+}を放出して陰イオンの割合が増える. 陽イオンと陰イオンの割合が等しく,\ 平衡混合物全体として電荷が0になるpH}が等電点である. 結局,\ アミノ酸は等電点より小さいpHでは主に陽イオン,\ 大きいpHでは陰イオン}となっている. 後は,\ 陽イオンは陽イオン交換樹脂,\ 陰イオンは陰イオン交換樹脂に吸着することに着目する. pH}9で陰イオンとなるのは,\ 等電点がpH}9よりも小さいアラニンとグルタミン酸である. pH}6で陽イオンとなるのは,\ 等電点がpH}6よりも大きいリシンである.\ アラニンは双性イオン. pH}6で陰イオンとなるのは,\ 等電点がpH}6よりも小さいグルタミン酸である. pH}4で陽イオンとなるのは,\ 等電点がpH}4よりも大きいアラニンとリシンである.