天然ゴムと合成ゴム(IR、BR、CR、SBR、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム)

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生ゴム)}}\ {\small (natural rubber)} \\[1zh]   ゴムノキから得られる乳白色の樹液を\textbf{\textcolor{blue}{ラテックス}(疎水コロイド溶液)}という. \\[.2zh]   これに\textbf{酸を加えて凝析させる}と天然ゴム(生ゴム)になる. \\[.2zh]   天然ゴムは,\ イソプレン\ce{C5H8}\;が\textbf{\textcolor{red}{付加重合}}した\textbf{\textcolor{blue}{シス形のポリイソプレン}}である.イソプレン(2\,–\,メチル\,–\,1,3\,–\,ブタジエン付加重合乾留   天然ゴムは,\ そのままでは機械的強度や弾性が弱く,\ 実用性がない. \\[.2zh]   また,\ 空気中の酸化剤\ce{O2},\ \ce{O3}\,により,\ C=C}が酸化開裂}}して弾性を失う(\textbf{\textcolor{blue}{ゴムの老化}}). \\[.2zh]   そこで,\ 天然ゴムに\textbf{\textcolor{red}{数\%の硫黄\ce{S}}}を加えて加熱(\textbf{\textcolor{blue}{加硫}})する. \\[.2zh]   すると,鎖状分子が\underline{\ce{C=C}の部分で}\textcolor{blue}{架橋}されて立体網目構造を形成}}し,\ 弾性や強度が増す. \\[.2zh]   ただし,\ 燃焼時に有毒ガスの二酸化硫黄\ce{SO2}が発生するようになる. \\[.8zh]   天然ゴムに3\,~\,8\%の硫黄を加えて加熱すると,\ \textbf{\textcolor{blue}{弾性ゴム}}(輪ゴムなど)ができる. \\[.2zh]   30\,~\,40\%を加えた場合は,\ \textbf{\textcolor{blue}{エボナイト}}(弾力性のない硬い黒色の樹脂状物質)ができる. \\\\   アカテツ科の木からは,\ トランス形のポリイソプレン(\textbf{\textcolor{blue}{グッタペルカ}})が得られる. \\[.2zh]   ゴム弾性のない硬い樹脂で,\ ゴルフボールの外皮や歯科用充填剤として利用されている. \\ トランス\,–\,1,4\,–\,ポリイソプレン イソプレンは,\ 単結合と二重結合が交互に連なる結合(\bm{共役二重結合})をもつ. \\[.2zh] また,\ 二重結合(エン\text{-ene})を2個もつ化合物を\bm{ジエン}という. \\[.2zh] ジエンを付加重合させると,\ どの二重結合が反応しやすいかで異なる重合体が生成しうる. \\[1zh] イソプレンは,\ 2つの二重結合が同程度に反応しやすい. \\[.2zh] よって,\ 1位と4位の\ce{C}で重合し,\ 二重結合が中央に移動する\bm{1,4\,\text{–}\,付加}が最も起こりやすい. \\[.2zh] 1,4\,\text{–}\,付加によるポリイソプレンには,\ シス\,\text{–}\,トランス異性体が存在する. \\[.2zh] ポリイソプレンを人工的に合成するとき,\ 少ない割合ながら1,2\,\text{–}\,付加や3,4\,\text{–}\,付加も起こる. \\[1zh] 熱可塑性樹脂は,\ 力を加えると変形し,\ 加えた力を除いたときに元に戻らない塑性}). \\[.2zh] これに対し,\ ゴムのように加えた力を除くと元に戻る性質を\bm{弾性}という. \\[1zh] \bm{シス形のポリイソプレンは,\ 分子全体が丸まった構造が安定している(エントロピー大).} \\[.2zh] 分子同士が近づきにくいので,\ 分子間力が小さく結晶化が起こらず,\ 軟らかい物質となる. \\[.2zh] また,\ \ce{C=C}は回転できないが\ce{C-C}が回転できるため,\ 外力を加えると伸ばすことができる. \\[.2zh] 分子が一方向に揃った状態(エントロピー小)となるが,\,外力を除くと分子の熱運動により縮む(弾性). \\[.2zh] トランス形のポリイソプレンは,\ 分子が直線状で強い分子間力がはたらくため,\ 硬く弾性を示さない. ブタジエンゴム(BR) \ \ \textbf{特徴} 耐摩耗性,\ 耐寒性,\ 耐熱性. \\[.5zh]    \ \ \textbf{用途} タイヤ,\ ホース,\ スーパーボール,\ 他のゴムとのブレンド. イソプレンゴム(IR)    \ \ \textbf{特徴} 高強度.\ 天然ゴムと似た性質(同じ単量体だが,\ シス形とトランス形が混在). \\[.5zh]    \ \ \textbf{用途} タイヤ,\ 防振ゴム,\ 長靴.{クロロプレンゴム(CR)    \ \ \textbf{特徴} 耐候性,\ 耐熱性,\ 難燃性. \\[.5zh]    \ \ \textbf{用途} コンベアーベルト,\ 被覆材,\ ゴム引布. \\\\[.5zh] クロロプレンは,\ \text{2\,–\,クロロ\,–\,1,3\,–\,ブタジエン}\ である. \\[.2zh] \ce{Cl}は,\ 電気陰性度(電子を引き寄せる強さ)が高い. \\[.2zh] よって,\ \ce{O2}\,によって電子を奪われにくく(酸化されにくく),\ \bm{\ce{Cl}を含む高分子化合物は燃えにくい}.スチレン\,–\,ブタジエンゴム(SBR)共重合スチレン\,–\,ブタジエンゴム(SBR)    \ \ \textbf{特徴} バランスが取れた特性.\ 耐熱性,\ 耐久性,\ 耐摩耗性,\ 機械的強度大. \\[.5zh]    \ \ \textbf{用途} タイヤ,\ 工業用品,\ 靴底,\ 他のゴムとのブレンド. \\\\[.5zh] 2種類以上の単量体による付加重合を\bm{共重合}という. \\[.2zh] 実際には2種類の単量体はランダムに並んでおり,\ m個,\ n個がそれぞれ連続しているわけではない. \\[1zh] 一般に,\ \bm{ベンゼン環を含む高分子化合物は硬く,\ 強度が大きくなる}. アクリロニトリル\,–\,ブタジエンゴム(NBR)}}\ {\small (Nはニトリルの頭文字)    \ \ \textbf{特徴} 耐油性,\ 耐寒性,\ 耐摩耗性,\ 耐熱性. \\[.5zh]    \ \ \textbf{用途} 石油ホース,\ パッキング, 接着剤. \\\\[.5zh] \bm{シアノ基(ニトリル基)\,-は強い極性}をもつため,\ 親水性の官能基である. \\[.2zh] 無極性の油分子の浸透を妨げるため,\ アクリロニトリルの割合が多くなるほど耐油性が高くなる. \\[.2zh] 分子間相互作用が大きくなり,\ 耐熱性も増す. \\[.2zh] ブタジエンの割合が多くなると,\ 弾性が増して割れにくいゴムになる. フッ素ゴムフッ化ビニリデンヘキサフルオロプロピレン    \ \ \textbf{特徴} 耐老化性,\ 耐熱性,\ 耐油性,\ 耐薬品性. \\[.5zh]    \ \ \textbf{用途} 電気部品,\ ホース,\ シール材, Oリング. \\\\\\   シリコーンゴム(ケイ素ゴム)ジクロロジメチルシランジメチルシラノール縮合重合    \ \ \textbf{特徴} 耐老化性,\ 耐熱性,\ 耐寒性,\ 耐薬品性,\ 電気絶縁性. \\[.5zh]    \ \ \textbf{用途} シール,\ 水泳帽,\ 人工血管,\ 電気絶縁材料. \\\\[.5zh] 炭素\ce{C}と同じ14族のケイ素\ce{Si}の水素化物\ce{SiH4}\,を\bm{シラン}という. \\[1zh] ケイ素をシリコン(\text{silicon}),\ \bm{ケイ素を含む化合物の総称をシリコーン}(\text{silicones})という. \\[.2zh] シリコーンのうち,\ 立体網目構造のものがシリコーン樹脂,\ 鎖状構造のものがシリコーンゴムである. \\[.2zh] メチル基\,\ce{- CH3}\,の一部をビニル基\,\ce{- CH=CH2}\,で置き換えると加硫でき,\ 実用性が増す. \\[1zh] 二重結合\ce{C=C}をもたないフッ素ゴムやシリコーンゴムは,\ 耐老化性に優れている. \hspace{.5zw}(1)\ \ 炭素原子と窒素原子の物質量比が$19:1$であるNBRのアクリロニトリルとブタ \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ ジエンの物質量比を求めよ. \\[1zh] \hspace{.5zw}(2)\ \ SBR\,1.0\,gに十分な量の臭素を加えて反応させると,\ 臭素2.0\,gが消費された. \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(1)}\ \ このSBRのスチレンとブタジエンの物質量比を求めよ.     [\,東京工業大\,] \\[1zh] アクリロニトリルと1,3\,–\,ブタジエンを$2:3$の物質量比で用いてNBRを合成した.} \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(2)}\ \ このNBR\,0.536\,g中の窒素原子をすべて窒素ガスに変えたとすると,\ 標準状態で \\[.2zh] \hspace{.5zw}\phantom{(2)}\ \ 何mLの窒素ガスが発生するか.               \ [\,京都薬科大\$炭素原子の個数:窒素原子の個数=\textcolor{red}{(3m+4n):m=19:1}$より $n=4m$ \\[1zh] アクリロニトリルの物質量:ブタジエンの物質量}=m:n=\bm{1:4}$} \\\\[.5zh] 物質量(\text{mol})は個数のことであるから,\ 単純に炭素原子と窒素原子の個数の比を考えればよい. 臭素\ce{Br2}\,の物質量に等しい}から,\ ブタジエンの物質量は  \text{SBR}のブタジエン単位1つにつき1個の二重結合がある. \\[.2zh] 1個の二重結合に1個の臭素分子が付加するから,\ \bm{臭素分子の物質量とブタジエンの物質量は等しい.} アクリロニトリルとブタジエンの物質量比2:3より,\ それぞれの重合度を2nと3nと設定できる. \\[.2zh] アクリロニトリル単位\ce{C3H3N}=53,\ ブタジエン単位\ce{C4H6}=54より,\ \text{NBR}の物質量が求まる. \\[1zh] \text{NBR}分子1個に2n個の\ce{N}原子が含まれる. \\[.2zh] 体積に換算できる.