ペプチドの構造決定問題演習

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peputido-kouzou@2x
ヘキサペプチドXがある. このペプチドを完全に加水分解すると, アラニン(略号A), グリシン(略号G), システイン(略号C), チロシン(略号Y), グルタミン酸(略号E)のみを生じる. Xの構造を決めるために次の実験を行った. [実験1] XのC末端にあるアミノ酸は光学活性を示さなかった. また, XのN末端のアミノ酸はキサントプロテイン反応に陽性であった. [実験2] Xに酸性アミノ酸のカルボキシ基側のペプチド結合のみを加水分解する酵素を作用させると, ペプチドP, ペプチドQ, ペプチドRが生成した. なお, P, Q, Rはアミノ酸ではない. [実験3] ペプチドP, Q, Rの等電点を計測したところ, PとQが酸性を示した. [実験4] ペプチドP, Q, Rにそれぞれ水酸化ナトリウムの固体を加えて加熱し, 酢酸で中和後, 酢酸鉛II水溶液を加えると, Rのみが黒色沈殿を生じた. ペプチドXの構造をN末端側が左となるように示せ. [名城大・改] ヘキサペプチドは6個のアミノ酸から作られるペプチドである. [実験1] 光学活性を示さない(不斉炭素原子をもたない)のはグリシン(G)である. キサントプロテイン反応陽性なのは, ベンゼン環をもつチロシン(Y)である. N–Y—□—□—□—□—G–C [実験2] 酸性アミノ酸はグルタミン酸(E)である. Eのカルボキシ基側(右側)で切れて3つに分解したので, Eは2カ所にある. P, Q, Rがアミノ酸ではなくジペプチド以上であることを考慮すると, Eの位置は以下となる. N–Y—E–|–□—E–|–□—G–C [実験3] PとQにはグルタミン酸(E)が含まれるから, C末端のジペプチドがRである. [実験4] 黒色沈殿PbSを生じるのは, 硫黄Sを含むアミノ酸やペプチドである. つまり, C末端のジペプチドRにはシステイン(C)が含まれる. 自動的にアラニン(A)の位置も決定する. N–Y—E—A—E—C—G–C ペプチドAは右に示すαアミノ酸のうち, 異なる4つのαアミノ酸が直鎖状に縮合した化合物である. C=12, H=1.0, O=16, N=14 αアミノ酸 と 等電点 グリシン 5.97 アラニン 6.00 グルタミン酸 3.22 システイン 5.07 フェニルアラニン 5.48 リシン 9.74 ペプチドAのアミノ酸配列を決定する目的で実験a〜fを行った. a) ペプチドAを部分的に加水分解すると, 3種類のペプチドB, C, Dといくつかのαアミノ酸に分解された. b) ペプチドB, C, Dを分離し, それぞれの水溶液に水酸化ナトリウム水溶液と硫酸銅II水溶液を加えて呈色反応を行った結果, いずれのペプチド水溶液においても呈色は観察されなかった. c) 分離したペプチドBとCそれぞれの水溶液に濃硝酸を加えて加熱すると, いずれの水溶液も黄色に変化し, 冷却後アンモニア水を加えると橙黄色に変化した. d) 分離したペプチドCとDそれぞれの水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱後, 酢酸鉛II水溶液を加えると, いずれの水溶液からも黒色沈殿が生じた. e) ペプチドAをアミノ酸にまで完全に加水分解し, 得られた4種類のαアミノ酸をpH=7.4の緩衝液中で電気泳動により分析した結果, 陰極側へ移動するαアミノ酸が存在することがわかった. f) ペプチドDをアミノ酸にまで完全に加水分解すると複数のαアミノ酸が得られた. これらのうち, 一つのαアミノ酸のメタノール溶液に濃硫酸を加えて加熱後, 炭酸水素ナトリウムで中和すると分子量103の化合物が生成した. ペプチドAの考えられる構造をN末端側を左にしてすべて示せ. [広島大・改] a) テトラペプチドAを N–(1)—(2)—(3)—(4)–C とする. 部分的に加水分解して生じる可能性があるペプチドが以下で, この5つのうち3つがB, C, Dである. トリペプチド (1)-(2)-(3) , (2)-(3)-(4) ジペプチド (1)-(2) , (2)-(3) , (3)-(4) b) ビウレット反応(トリペプチド以上で陽性)を示さないから, B, C, Dはジペプチドである. c) キサントプロテイン反応陽性のB, Cは, ベンゼン環をもつフェニルアラニンを含む. d) 黒色沈殿PbSを生じるC, Dはシステインを含む(硫黄Sの検出). e) 陰極側へ移動するのは, pH7.4で主に陽イオンの状態で存在するαアミノ酸である. アミノ酸は, pHが等電点より小さくなる(H⁺が増える)と陽イオンの割合が増える. pH7.4が等電点より小さいのは等電点9.74の塩基性アミノ酸リシンなので, テトラペプチドAにリシンが含まれる. f) メタノールと濃硫酸(酸触媒)を加えて加熱するとエステル化する. H₂N-CH(R)-COOH + HO-CH₃ → H₂N-CH(R)-COOCH₃ + H₂O 生成物 H₂N-CH(R)-COOCH₃ の側鎖R以外の部分の式量は C₃H₆O₂N = 88 なので, 側鎖Rの式量は 103-88=15 である. よって, R=CH₃ であり, ペプチドDがアラニンを含むとわかる. b), c)より, Bはフェニルアラニンと他の何らかのアミノ酸からなるジペプチドである. b), c), d)より, Cはフェニルアラニンとシステインからなるジペプチドである. b), d), f)より, Dはアラニンとシステインからなるジペプチドである. さらにe)より, Bがフェニルアラニンとリシンからなるジペプチドであると確定する. 考えられるテトラペプチドAの構造は, 重複部分をつなぎ合わせて以下となる. N–リシン—フェニルアラニン—システイン—アラニン–C N–アラニン—システイン—フェニルアラニン—リシン–C
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