ケルダール法による粗タンパク質の定量

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kjeldahl@2x
ある食品1.0 gを濃硫酸中で加熱分解し, 食品中のすべての窒素を硫酸アンモニウムに変換した. これに水酸化ナトリウム水溶液を加えて発生したアンモニアを0.20 mol/Lの希硫酸20 mLに吸収させた. 残存する硫酸を中和滴定したところ, 0.10 mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液30 mLを要した. この食品中に含まれるタンパク質の質量%を求めよ. ただし, タンパク質中の窒素含有量を16%とする. N=14 ケルダール法 試料中の窒素含有量を調べる分析法. ① 硫酸カリウムおよび硫酸銅(触媒)のもと, 窒素を含む試料を濃硫酸中で加熱分解する. すると, タンパク質中の全ての窒素Nが硫酸アンモニウム (NH₄)₂SO₄ に変化する. さらに, 硫酸アンモニウムに強塩基を加えると, アンモニア NH₃ が発生する. (NH₄)₂SO₄ + 2NaOH -> Na₂SO₄ + 2NH₃ + 2H₂O ② アンモニアを過剰の希硫酸に完全に吸収させる. ③ 残った硫酸を中和滴定で定量する(逆滴定). ② H₂SO₄ aq, 0.20 mol/L, 20 mL ① NH₃, x [mol] ③ NaOH aq, 0.10 mol/L, 30 mL 酸の物質量(mol) 塩基の物質量(mol) アンモニアの物質量を x [mol] とすると 2(価)×0.20 mol/L×20/1000 L = 1(価)×x [mol] + 1(価)×0.10 mol/L×30/1000 L よって x=5.0×10⁻³ mol 窒素原子の質量は 14 g/mol×5.0×10⁻³ mol=7.0×10⁻² g タンパク質の質量は 7.0×10⁻² g×100/16=0.4375 g ∴ 0.4375 g/1.0 g×100=43.75 ≒44 % [ 序盤の処理で, タンパク質中のN原子を, N 2 mol -> (NH₄)₂SO₄ 1 mol -> NH₃ 2 mol と変化させる. N:NH₃=2:2=1:1より, N原子の物質量を求めることはNH₃の物質量を求めることに等しい. このように, 試料中のN原子をNH₃に変換して定量するのがケルダール法である. NH₃の定量は逆滴定で行われる. 中和滴定の根幹は (H⁺の物質量)=(OH⁻の物質量) である. つまり, (H₂SO₄のH⁺のmol)=(NH₃のOH⁻のmol)+(NaOHのOH⁻のmol)である. これにより, NH₃の物質量, すなわち窒素原子Nの物質量が求められる. さらに, 窒素の原子量と窒素原子の物質量を掛けると, 窒素原子の質量が求まる. タンパク質の16%が窒素であることを考慮し, タンパク質の質量に換算する. 7.0×10⁻² g:16% = y[g]:100% より タンパク質の質量 y = 7.0×10⁻²×100/16. 後は食品1.0 g中のタンパク質0.4375 gの割合を求めればよい. タンパク質は, 種類によって多少の差はあるものの, 平均すると約16%の窒素を含んでいる. 窒素含有量を 100/16 = 6.25 倍すると, 食品のタンパク質含有量が粗く求まるというわけである. ]
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