基本的な数学的帰納法③:整数の性質の証明

スポンサーリンク
整数\ a_n=19^n+(-1)^{n-1}2^{4n-3}(n=1,\ 2,\ 3,\ )\ のすべてを割り切る素数を求めよ.$ {数学的帰納法\ :整数の性質の証明}$ よって,\ $a_nのすべてを割り切る素数は7と予想できる.}$ $すべての自然数nに対し,\ a_nが7の倍数であることを数学的帰納法で示す.$ $n=1}\ のとき  a₁=73\ より,\ 7の倍数である.$ が7の倍数であると仮定する.}$ (m:整数)}\ とおける. が7の倍数であることを示す { $$}$  よって,\ a_{k+1}は7の倍数であり,\ n=k+1\ のときも成立する.}$ ${,\ より,\ すべての自然数nに対してa_nは7の倍数である.}$} とりあえず{具体的な数値を代入}してみると,\ 求める素数は7しかありえないことがわかる. もちろん,\ すべてのnについて示さなければ,\ 解答としては不十分である. 結局,\ a_nが7の倍数であることを数学的帰納法で証明することになる. さて,\ 整数問題では,\ 日本語を数式で表現して議論していくことが重要である. {日本語「a_kが7の倍数」は,\ 数式「a_k=7m\ (m:整数)」と表現できる.} この仮定を用いて,\ a_{k+1}が7の倍数であることを示せばよい. つまり,\ {a_{k+1}=7N\ (N:整数)\ に変形することが最終目標}となる. 闇雲に変形するのではなく,\ このような目的意図を持ってa_{k+1}を変形していく必要がある. 仮定を適用するには,\ a_{k+1}の式中に19^k+(-1)^{k-1}2^{4k-3}\ という形を作り出す必要がある. これは可能ではあるものの,\ かなり強引な変形になり,\ わかりづらい. その結果,\ 多くの学生がここで行き詰まる.\ しかし,\ 実に単純な方法でこの難所を乗り越えられる.. {仮定の方を\ 19^k=7m-(-1)^{k-1}2^{4k-3}\ と変形して考える}のである. これならば,\ 19^kを作り出すだけで容易に適用することが可能になる. 19^{k+1}=1919^k\ として,\ この仮定を適用すればよい. 後は,\ {7Nの形を目指して式を整理}していくだけである. 指数計算では,\ {指数を小さい方にそろえる}ことが重要である. 大きい方にそろえようとすると,\ 分数になってしまい,\ 整数の性質が使えなくなる. (-1)^{k-1}2^{4k-3}\ と\ (-1)^k2^{4k+1}\ では,\ 前者のほうが指数が小さい. よって,\ (-1)^k=(-1)(-1)^{k-1},2^{4k+1}=2⁴2^{4k-3}\ としてそろえる. 指数がそろえば足し合わせることができ,\ うまく7でくくり出せるようになる. 最後,\ 7をくくり出したことをもって,\ ただちに7の倍数としてはいけない. a_{k+1}=7( )となった後,\ 必ず{( )内が整数であることを断る}必要がある. もし( )内が27などの分数ならば,\ a_{k+1}が7の倍数とは限らなくなるからである. 数列a_n}は,\ a₁=7,a_{n+1}=(a_n)³(n=1,\ 2,\ 3,\ )\ によって定められるとする.$ $nを自然数とするとき,\ a_nを3^nで割ったときの余りが1になることを数学的帰納法$ $によって証明せよ.                         [神戸大]$ のとき a_{1}=7\ より,\ 3^1で割ったときの余りは1である.$ $n=k}\ のとき$ { $$}$  a_kを3^kで割ったときの余りが1であると仮定する.}$ { $$}$  このとき,\ a_k=3^kq_k+1(q_k:整数)}\ とおける.$ \ のときa_{k+1}を3^{k+1}で割ったときの余りが1となることを示す. { $$}  ここで,\ $kは1以上の整数であるから,\ 3^{2k-1},\ 3^kは整数}である.$ { $$}  よって,\ $3^{2k-1}{q_k³+3^k{q_k}²+q_k\ は整数}である.$ { $$}  ゆえに,\ $a_{k+1}は3^{k+1}で割ったときの余りが1である.}$ ${,\ より,\ a_nを3^nで割ったときの余りは1である.}$ {余りに関する証明}も,\ 倍数の場合と同様に証明できる. {「AをBで割ったときの商Q,\ 余りR」は,\ 数式「A=BQ+R」で表現する.} 本問の場合,\ 3^kで割ったときの余りは常に1だが,\ 商はkごとに変化する. つまり,\ a₁=3^1q₁+1,\ a₂=3²q₂+1,\ のとき,\ q₁,\ q₂,は同じ値ではない. よって,\ a_k=3^kq+1\ ではなく,\ {a_k=3^kq_k+1\ とおく}必要がある. 最終目標は,\ {a_{k+1}=3^{k+1}( )+1}\ の形に変形することである. 与えられた漸化式に仮定を代入して変形していけばよい. 公式\ (a+b)³=a³+3a²b+3ab²+b³\ で展開後,\ {最終目標を目指して3^{k+1}をくくり出す.} このとき,\ 3k-(k+1)=2k-1\ より,\ 3^{3k}=3^{k+1}3^{2k-1}\ などに注意する. 先の問題と同様,\ {( )内が整数の場合に3^{k+1}で割ったときの余りが1といえる.} そのために,\ 3^{2k-1}と3^kが整数であることを断ったわけである.