熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂)

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合成樹脂 樹脂状の合成高分子化合物で,\ 希望の形に成型できる性質(塑性)をもつ. 合成樹脂は,\ 熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に大別される. Plastic(可塑性の)に由来し,\ \プラスチックとも呼ばれる. 熱可塑性樹脂加熱すると軟らかくなり,\ 冷却すると硬化する性質をもつ合成樹脂. 加熱で軟らかくしてから型に入れ,\ 冷却することで自由に成形加工できる. 一般に\鎖状高分子化合物が該当する. 熱硬化性樹脂 \加熱すると硬化する性質をもつ合成樹脂. 熱可塑性のある重合度の低い段階(プレポリマー)で成形する必要がある. 熱可塑性樹脂よりも耐熱性や耐溶剤性に優れている. 一般に\三次元網目状構造をもつ高分子化合物が該当する. {代表的な熱硬化性樹脂 フェノール樹脂(PF)(ベークライト) ホルムアルデヒド{酸触媒}{塩基触媒ノボラック{レゾール 加熱$+$硬化剤{特徴} ベークランドが開発した世界初の合成樹脂.\ 電気絶縁性・耐熱性に優れる. 用途} プリント配線基盤,\ 電子部品,\ 断熱材. フェノール(Phenol})とホルムアルデヒド(Formaldehyde})の縮合は,\ 簡単には次のように起こる. 実際には,\ まずフェノールにホルムアルデヒドが付加し,\ その生成物と別のフェノールが縮合する. ] このように,\ 付加と縮合が同時に起こる重合を付加縮合という. フェノール樹脂は,\ 触媒が酸性か塩基性かで反応が異なる. 酸触媒下ではノボラック(分子量1000程度の軟らかい固体)という中間体が生じる. これは加熱しても硬化しない熱可塑性樹脂だが,\ 硬化剤を加えて加熱するとフェノール樹脂となる. 塩基触媒下ではレゾール(分子量300程度の粘性の大きい液体)という中間体が生じる. これは,\ 加熱のみでフェノール樹脂となる. フェノールは,\ {オルト位とパラ位でホルムアルデヒドと反応}してフェノール樹脂となる. ただし,\ オルト位とパラ位のすべてが反応するとは限らない. 尿素樹脂(ユリア樹脂)(UF) {尿素とホルムアルデヒドを付加縮合させた樹脂.{特徴} 比較的安価で,\ 耐熱性・耐薬品性・透明性・着色性に優れる. 用途} 雑貨,\ ボタン,\ 食器,\ おもちゃ. 尿素(Urea})とホルムアルデヒド(Formaldehyde})の縮合は,\ 簡単には次のように起こる. 実際には,\ まず尿素にホルムアルデヒドが付加し,\ その生成物と別の尿素が縮合する. 尿素{H₂N-CO-NH₂}は{H}原子を4個もつ. よって,\ 最大4個のホルムアルデヒドと縮合できるが,\ すべての{H}原子が縮合するとは限らない. アミノ基をもつ化合物とホルムアルデヒドを付加縮合させてできる樹脂の総称を{アミノ樹脂という. アミノ樹脂には,\ 尿素樹脂やメラミン樹脂がある. メラミン樹脂(MF){メラミンとホルムアルデヒドを付加縮合させた樹脂. 特徴} 高強度で,\ 耐熱性・耐水性・耐薬品性に優れる.\ 美しい光沢をもつ. 用途} 化粧板,\ 塗料,\ 食器,\ 家具. アミノ基をもつメラミン(右図)は,\ 尿素と同様の要領で付加縮合する. メラミン1個で最大6個のホルムアルデヒドと縮合できる. よって,\ メラミン樹脂は強固な立体網目状構造をもつ. 加えて,\ ベンゼン環と同様の平面構造ももつため,\ 非常に硬い樹脂となる.      グリプタル樹脂(アルキド樹脂の一種) アルキド樹脂 多価カルボン酸やその無水物と多価アルコールの縮合重合による高分子化合物. \エステル結合{- COO -}ができるから,\ ポリエステル樹脂の一種である.  alkyd(アルキド)は,\ alcohol(アルコール)$+$acid(酸)に由来する. グリプタル樹脂(下図) \無水フタル酸とグリセリンの縮合重合による高分子化合物.  フタル酸は2価カルボン酸,\ グリセリンは3価アルコールである. {グリプタル樹脂} 特徴} 耐熱性・耐光性・接着性に優れる. 用途} 塗料,\ 接着剤. }{シリコーン樹脂(ケイ素樹脂)ジクロロジメチルシラン}{トリクロロメチルシラン} 加水分解 ジメチルシラノールメチルシラノール{縮合重合}シリコーン樹脂(ケイ素樹脂)} 特徴} 撥水性・耐水性・耐熱性・耐薬品性・電気絶縁性に優れる. 用途} ワックス,\ 電気絶縁材料,\ シリコーンゴム. 炭素{C}と同じ14族のケイ素{Si}の水素化物{SiH4}をシランという. ケイ素をシリコン(silicon}),\ ケイ素を含む化合物の総称をシリコーン(silicones})という. ただし,\ シリコーンをシリコンと呼ぶことも多い.