タンパク質の分類、高次構造、性質、検出

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タンパク質(protein;プロテイン)は炭水化物,\ 脂質と並ぶ三大栄養素の1つである. 卵,\ 肉類,\ 大豆などに多く含まれている. 構造は,\ 多数の${α}$-アミノ酸が結合した高分子化合物(ポリペプチド)である. $α$-アミノ酸は約20種類あるため,\ 結合数や配列順序でタンパク質の種類は膨大になる. タンパク質の構成成分による分類 単純タンパク質 ${α-アミノ酸}$のみで構成されたタンパク質. 複合タンパク質 $α-アミノ酸$以外に糖・リン酸・色素・核酸などを含むタンパク質. タンパク質の形状による分類 球状タンパク質 親水基を外側,\ 疎水基を内側に向けてポリペプチド鎖が球状をなすタンパク質. 水に溶けるものが多く,\ 細胞や血液中で生命活動の維持する役割をもつ. 繊維状タンパク質 ポリペプチド鎖が束になった繊維状のタンパク質. 強くて水に溶けにくいので,\ 毛髪や皮膚などの生体組織を形成する. 単純タンパク質 アルブミン & 卵白,\ 血液.\ 水に可溶. & 球状タンパク質} & グロブリン & 卵白,\ 血液.\ 水に難溶. && グルテリン &  米,\ 小麦.\ 水に難溶. \cline{2-4} & & ケラチン & 爪,\ 毛髪,\ 羊毛. & 繊維状タンパク質} & コラーゲン & 皮膚,\ 軟骨,\ 腱. && フィブロイン & 絹糸,\ クモ糸 4}*{複合タンパク質 &  糖タンパク質} & l|}{糖が結合.\ ムチン(唾液),\ 赤血球.} & リンタンパク質} & l|}{リン酸が結合.\ カゼイン(牛乳).} & 色素タンパク質} & l|}{色素が結合.\ ヘモグロビン(血液).} &  核タンパク質} & l|}{核酸(DNA,\ RNA)が結合.\ 染色体,\ リボソーム.} 代表的なタンパク質(太字)とその所在は暗記する.} タンパク質の高次構造 一次構造  アミノ酸の配列順序のこと(タンパク質の種類は1次構造で決まる). 二次構造 一次構造が決定したポリペプチド鎖は,\ ペプチド結合間で水素結合を形成する. こうしてできる部分的な立体構造をタンパク質の二次構造という. 4つ先のアミノ酸と,\ {CO}と{NH}の間で水素結合を作ると,\ 右回りのらせん構造になる. この立体構造を\ ${α}$-ヘリックス構造という(helix;らせん). また,\ 平行に並ぶポリペプチド鎖間で水素結合を作ると,\ 波板状の構造になる. この立体構造を${β}$-シート構造という. ${α}$-ヘリックス構造}             ${β}$-シート構造} 三次構造 二次構造をとったタンパク質は,\ {側}{鎖}どうしの相互作用によってさらに折りたたまれる. こうしてできるより複雑な立体構造をタンパク質の三次構造という. 側鎖どうしの相互作用には次のようなものがある.{イオン結合水素結合}疎水結合ジスルフィド結合 0.98}{三次構造をもつタンパク質の中にはいくつか集合して一定の立体配置をとるものがある.} こうしてできる集合体をタンパク質の四次構造という. タンパク質の二次構造,\ 三次構造,\ 四次構造をまとめてタンパク質の高次構造という. ポリペプチド鎖は,\ 高次構造をともなってはじめてタンパク質として機能する. {疎水結合} 極性をもつ溶媒中では,\ 疎水基が集合すると安定できる.\ これは一種の結合とみなせる. α-}アミノ酸のシステインは,\ 側鎖にチオール基\ {- SH}をもつ. システインを含むタンパク質のチオール基2個から{H}2個がとれてジスルフィド結合ができる. {R-SH + HS-R -> R-S-S-R + 2H+ + 2e-} (酸化) 四次構造をもつタンパク質の代表に,\ {赤血球に含まれるヘモグロビン}がある. ヘモグロビンは色素(ヘム)とタンパク質が結合した色素タンパク質である. ヘモグロビンは,\ 2種類のポリペプチド鎖が2分子ずつ折りたたまれた4分子からなる集合体である. 鉄を含むヘム色素が含まれ,\ 酸素と結合することでその運搬を担っている. タンパク質の性質 変性 熱,\ 酸,\ 塩基,\ 重金属イオンなどで高次構造が変化して沈殿や凝固が起こる. 1次構造のペプチド結合は変化しない. 一度変性したタンパク質を元に戻すのは難しい.  ゆで卵は生卵に戻らない. 塩析 親水性のタンパク質は親水コロイド溶液になる. これに多量の電解質を加えると,\ 水和水が奪われて沈殿する. タンパク質の検出 ビウレット反応(ペプチド結合が2個以上あるペプチド(トリペプチド以上)の検出) {NaOH}水溶液でアルカリ性にした後にCuSO₄水溶液を加えると,\ 赤紫色を示す. キサントプロテイン反応(ベンゼン環をもつアミノ酸やタンパク質の検出) 濃{HNO₃}を加えて加熱すると,\ ベンゼン環がニトロ化されてyellow}{黄色になる. さらに,\ 冷却後溶液を塩基性にすると,\ 橙黄色になる. フェニルアラニン,\ チロシン   参考:キサントxantho}(黄),\ プロテイン(protein)} ニンヒドリン反応(アミノ基{- NH₂}の検出) ニンヒドリン水溶液を加えて温めると,\ 赤紫~青紫色を示す.\ $α$-アミノ酸も呈色する. 硫黄の検出反応({S}を含むアミノ酸やタンパク質の検出) {NaOH}水溶液を加えて加熱した後,\ 酢酸鉛(II)\ {(CH₃COO)2Pb}水溶液を加える. すると,\ 硫化鉛(II)\ {PbS}の黒色沈殿}が生じる.  システイン,\ メチオニン 窒素の検出反応 {NaOH}水溶液を加えて加熱し,\ 赤色リトマス紙を近づけると,\ 青変する. これは,\ タンパク質の分解で生成したアンモニアNH₃の反応による.