高校物理の攻略
「物理は難しい」と感じる学生は非常に多い。とりあえず丸暗記しておけばある程度点になる他科目と違い、物理は暗記がほぼ通用しないからである。
化学は分野ごとに理解と暗記のバランスが異なるが、総合的には理解5割・暗記5割程度と言える。一方、物理は理解9.5割・暗記0.5割という極めて理解重視の科目である。
これは裏を返せば、一旦理解してしまえば面白いように点が取れるという意味でもある。そのため、全科目中最も高得点がねらえる科目であり(簡単というわけではない)、物理が得意な学生は受験において圧倒的に有利になる。正しい学習をした場合に限るが、共通テストでも満点や9割が他科目よりも圧倒的に取りやすい。
物理では数学的な思考力・計算力が要求されるため、基本的に物理の実力は数学力に比例する。しかし、数学とは完全に別の科目であり、勉強法も異なる。数学のように「パターン暗記」で乗り切ろうとすると必ず行き詰まる。物理では、物理特有の考え方・思考手順に慣れることが何より重要である。なお、数学の三角比・ベクトル・微分積分を学習済みであることが好ましい。
暗記が通用しない以上、物理は独学が極めて難しい科目である。一般的な問題集には式や答えが書かれているだけで、「なぜその式が出てくるのか」という最重要の“思考過程”が省略されている。思考過程が不明のまま解けずに挫折したり、思考過程にミスや不足があってもたまたま式が合ってしまい「理解した」と誤解したりするといった状況に陥りやすい。結果、応用問題になるとまったく歯が立たなくなる学生が続出する。
当サイトでは、物理の問題をどのような思考過程で解くのかに大きな比重を置いて解説する。通常の問題集では省略されがちな思考の流れを、1つ残らず丁寧に示し、「なぜこの式になるのか」をすべて明らかにする。公式やパターンだけを機械的に覚えたり、答えが合っているだけで満足したりせず、自分が正しい思考過程で問題を解けているかを常に意識して学習してほしい。
高校物理は、大きく5つの分野に分類される。
- 力学
物体の運動を扱う分野で、運動方程式 ma=F を中心に体系が築かれる。 剛体の力学、エネルギー保存則、運動量保存則、円運動、単振動、万有引力など、力学の学習内容は高校物理の全分野の基盤となる。ここで“物理という科目そのものを理解できたかどうか”で以降の全分野の伸びが決まると言っても過言ではない。 - 熱力学
気体や熱の振る舞いを扱う分野で、化学とも内容が重なるため比較的とっつきやすく、最も得点源視しやすい。本質は「エネルギー・温度・仕事・圧力」を統一して整理する“熱の力学”であり、ボイル・シャルルの法則、気体の状態方程式 PV=nRT、気体分子運動論、熱力学第一法則、気体の状態変化、熱効率などを学ぶ。気体分子運動論では、温度の正体が粒子の平均運動エネルギーであることが明らかになる。 - 波動
すべての波に共通する基本性質(振幅・周期・位相・波長・重ね合わせ)を軸に、音波・光波・電磁波へと学習を広げていく。 定常波、干渉・回折、気柱の振動、ヤングの実験、ドップラー効果、レンズの公式など幅広い内容を扱う。波の動きを直感的にイメージしにくいため理解までに時間がかかるが、仕組みをつかめばパターン化されており安定した得点源になる。 - 電磁気学
力学と並ぶ高校物理の最重要分野で、静電気力、電場・電位・コンデンサー、直流回路、磁場、電磁誘導、ローレンツ力、交流回路、電磁波などを学習する。 力学との類似と相違を意識すると理解が進み、特に「電場や磁場がどのように力を生み出すか」を力学的視点から捉えることが習得の鍵となる。 - 原子物理
量子論・原子構造に触れる分野で、化学より踏み込んだ原子・光・エネルギーの関係を学ぶ。光電効果、ボーアの水素原子モデル、コンプトン効果、原子核エネルギー、素粒子などを扱う。 学習内容が少なく、出題パターンも限られているため、短期間で入試レベルに到達できる。
2次試験で物理を必要とする理系高校生にとって、受験までの物理の学習の進め方はいたってシンプルで、以下の3段階を踏めばよい。特にレベルの高い大学や学部でない限りこれで十分である。
2次試験を想定した学習を積んできていれば、共通テストは自然と8割くらいは取れるようになる。逆に、共通テストで7割届かないレベルでは、2次試験で合格点を取るのは難しい。
- 学校の授業を受けながら、学校で指定された傍用系問題集で学習する。
- 全分野の学習を完了後は、重要問題集1冊を仕上げる(解説が良くも悪くも簡潔な書籍なので手に負えない場合はより解説が詳しい問題集のほうがよい)。実力者は傍用系問題集と平行してもよい。一定レベル以上の高校ならば学校で配られることも多い。
- 志望校の過去問演習をして傾向や出題方法などの確認をしつつ最後の仕上げを行う。
その他の参考書・問題集は以下で紹介。
高校物理の裏技
高校物理5分野
波動・電磁気学・原子物理は未更新です。
数学・化学の更新が完了次第更新する予定です。


