
グラフとグラフのGeoGebraアニメーション
波の要素と基本公式, y-xグラフとy-tグラフ
波源 振動の開始点.
媒質 振動を伝える物質.
波動(波) 波源の振動が, 次々に隣の部分に伝わる現象.
波が伝わるとき, 媒質の各点は平衡の位置を中心に振動するだけで, 媒質自身は移動しない.
スポーツで観客が作るウェーブをイメージしよう. 人は移動せず, その場で上下動しているにすぎない.
変位y 媒質の各点の元の位置からのずれ.
波形 振動する媒質の各点の変位yを結んだ線. 変位の最大点を山, 最低点を谷という.
パルス波 波源の短時間振動で生じる単独の波 (例 手を1回上下させた時のロープの波).
連続波 波源の連続的振動で生じる連続的な波 (例 手を周期的に上下し続けた時のロープの波).
振幅A 変位yの最大値 (山の高さ or 谷の深さ).
波長λ[m] 波1つ分の長さ (隣り合う山と山のように, 同じ振動状態の隣り合う2点間の距離).
周期T[s] 媒質の各点の1回の振動に要する時間.
振動数f 媒質の各点の1秒あたりの振動回数. 単位[回/s]にはHz
を用いる.
波の速さをv[m/s]とする. 波は1周期T[s]の間に1波長λ[m]進むから
波の基本公式 v[m/s]=λ[m]/T[s]=fλ (f=1/T)
振幅AはAmplitude(振幅), 周期TはTime for one period(一周期の時間),
振動数fはfrequency(振動数, 周波数), 波の速さvはvelocity(速さ)に由来する.
T[s]:1[回]=1[s]:f より, 周期Tと振動数fは逆数の関係にある.
波の変位yは, 位置xと時刻tで決まる. 数学的には2変数関数y=f(x, t)である.
この全体像は2次元のグラフで表せないため, 横軸xのグラフと横軸tのグラフを使い分ける.
y-xグラフ ある固定時刻t=t0の波形を表す(ある瞬間の実際の波形の写真).
y-tグラフ ある固定位置x=x0の媒質の変位の時間変化を表す.
y-xグラフ:1サイクルが1波長(1λ), y-tグラフ:1サイクルが1周期(1T).
波の進行は, 数学的にはy-xグラフのx軸方向の平行移動である.
(実線波形がその形のまま右にスライドしてΔt秒後に破線波形になる様子をイメージ)
ただし物理的には, 媒質自身はx軸方向には移動せず, 媒質各点がy軸方向に上下動する.
媒質の1点(上例はx=0)の上下動を横軸tでプロットしたのがy-tグラフである.
(x=0における変位yと連動する点Pがy-tグラフ上を動いていく様子をイメージ)
y-xグラフとy-tグラフは, 同じ波を異なる観点(t固定・x固定)で図示したものである.
一方のグラフが与えられたときに他方のグラフを図示できるかが問われる.
図の時刻t=0[s]の実線波形が初めて破線波形になるまでにt=1.5[s]かかった.
(1) この波の振幅A, 波長λ, 速さv, 周期T, 振動数fを求めよ.
(2) t=12.5[s]における波形を描け.
(3) x=0, 2.0, 4.0[m]での変位yの時間変化を表すグラフを描け.
(1) 図より 振幅A=2.0m, 波長λ=8.0m
t=1.5sで山が6.0m進行したから 速さv=x/t=6.0m/1.5s=4.0m/s
周期T=λ/v=8.0m/4.0m/s=2.0s, 振動数f=1/T=1/2.0s=0.50Hz
y-x図からは振幅Aと波長λが直ちに読み取れる.
速さvは(進行距離)÷(時間)で求まる. 進行距離は山の移動に着目して読み取るのがわかりやすい.
t=0sでx=2.0mの位置にあった山が, 1.5秒でx=8.0mの位置にまで進行(平行移動)した.
波長λと速さvが求まれば, 周期Tと振動数fは波の基本公式v=λ/T=fλによって求められる.
(2) v=4.0m/s, t=12.5sより, 進行距離はx=vt=50mである.
8.0m(1波長分)進む(平行移動する)たびにt=0sの波形と一致する.
50m=8.0m×6+2.0mより, t=0sの波形を2.0m分進める(平行移動する).
1周期T=2.0sより12.5s=6T+1/4Tなので, t=0の波形を1/4周期分進めると考えてもよい.
(3) Δtを微小時間とする.
まず, 一番わかりやすいx=2.0mの点(青)の変位yの時間変化を考えよう.
t=0sにおける変位は最大のy=2.0mなのでその後は減少する他なく, 右図の青線一択である.
(1)で1周期(1サイクル)はT=2.0sと求まっているので, t軸の目盛りも取れる.
x=0mの点(橙)とx=4.0mの点(緑)はt=0sでy=0mなので, その後は増加も減少もしうる.
y-x図に微小時間経過した後の波形を描くと媒質の移動方向(変位の増加・減少)がわかる.
波の進行方向はx軸正方向なので, t=0sの波形をx軸正方向に少しだけ平行移動する.
x=0mでの橙点の変位の減少とx=4.0mでの緑点の変位の増加がわかり, 右図のグラフが描ける.
原点での変位が下図で表される波が, x軸の負方向に速さ5.0m/sで伝わる.
(1) この波の振幅A, 周期T, 振動数f, 波長λを求めよ.
(2) t=0, 8.2[s]における波形を描け.
(3) x=10[m]での変位yの時間変化を表すグラフを描け.
(1) 図より 振幅A=0.10m, 周期T=0.80s
振動数f=1/T=1/0.80s=1.25≒1.3Hz
速さv=5.0m/sで伝わるから 波長λ=vT=5.0m/s×0.80s=4.0m
y-t図からは振幅Aと周期Tが直ちに読み取れる. 振動数fと波長λは波の基本公式で求まる.
(2) y-t図から逆にy-x図が描けるかが問われており, y-x図からy-t図を描くよりも難易度が高い.
そもそも与えられるy-t図が実際の波形ではなく, 直感的なイメージが難しいからである.
まず, 問題の図が原点(x=0m)のみに着目したy-t図(変位yの時間変化)であることを意識する.
y-t図より, t=0sのときy=0mで, その後変位yは増加していきt=0.20sで最大になる.
t=0sのときy=0mによってy-x図は赤実線か緑実線の二択に絞られるので, 両方を検証する.
y-x図からy-t図を描くとき, 微小時間後の波形を描いて媒質の振動方向を読み取るのであった.
x軸負方向に進むことに注意して微小時間後の波形を描くと点線のようになる.
y-t図と矛盾しないのはx=0における変位が増加している赤実線であり, これが正解と判断できる.
(1)で1波長(1サイクル)は4.0mと求まっているので, x軸の目盛りも取れる.
続いて, t=8.2sの波形(y-x図)を描くことを考える. t=8.2sは問題のy-t図の範囲外である.
1周期T=0.80sでt=8.2s=T×10+0.20sより, 結局t=0.20sの波形を描けばよい.
このときのx=0mの変位はy-t図から最大のy=0.10mとわかるので, 青線一択である.
先にt=0sの波形を図示していれば, これを利用することもできる.
λ=4.0m, 進行距離5.0m/s×8.2s=41m=λ×10+1.0mより, t=0sの波形を1.0m進める.
(3) あるtのy-x図から別のtのy-x図を描きたいとき, 進行距離分平行移動するだけで容易に描けた.
しかし, あるxのy-t図から別のxのy-t図を直接的に描くのは少し難しい.
一旦t=0sにおけるy-x図を経由するのが確実である. 今回は(2)で描画済みである.
1波長λ=4.0mでx=10m=λ×2+2.0mより, 結局x=2.0mの時間変化を描けばよい.
(2)赤実線より, x=2.0mの点はt=0sのときy=0mで, 微小時間後に変位は減少するとわかる.
y-x図を経由しない考え方も示しておく.
波はx軸負方向に進行しており, 10m÷5.0m/s=2.0sである.
つまり, x=10mにおける変位が2.0秒後にx=0mにまで伝わる.
逆に言えば, 問題のx=0mの時間変化を2.0秒分早めると, それがx=10mでの時間変化である.
1周期T=0.80sで2.0s=T×2+0.40sより, 結局0.40秒分(1/2周期分)早めればよい.
これは, x=0mのy-t図をt軸負方向に0.40秒分平行移動することに相当する.
