
空間的うなりのGeogebraアニメーション
振動数がわずかに異なる2つの波が干渉し合い, 音の強弱を周期的に繰り返す現象.
音波の場合, 「ウォーン, ウォーン」と聞こえる.
2つの音源 S₁, S₂ の振動数を f₁, f₂ [Hz] (f₁ ≈ f₂) とする(振幅は等しい).
2つの音波が同位相の時刻では合成波の振幅最大, 逆位相の時刻では合成波の振幅0になる.
時間 t のうちに, S₁ からの波は f₁t 回, S₂ からの波は f₂t 回振動する.
一度同位相になってから再び同位相になる条件は, 波の数の差が整数 n のときである.
最初に n=1 (波の数の差が1) となる時刻を t=T [s] とすると
|f₁T − f₂T| = 1
うなりの周期 T = 1 / |f₁ − f₂| [s]
うなりの振動数 f = |f₁ − f₂| [Hz]
[
(振動数 f [回/s]) × (時間 t [s]) = 波の数(振動回数)
図は横軸 t であるから, 実際の波形ではなく, ある位置 x における変位の時間変化である.
]
────────────────
3つのおんさ A, B, C がある.
おんさ A の振動数は 256 Hz である.
おんさ A と B, B と C, C と A を同時に鳴らすと, それぞれ毎秒 2 回, 3 回, 5 回のうなりが生じた.
おんさ B, C の振動数 f_B, f_C はいくらか.
うなりの振動数は, 2つの音の振動数の差の絶対値に等しいから
|256 − f_B| = 2
|f_B − f_C| = 3
|f_C − 256| = 5
|256 − f_B| = 2 より
f_B = 256 ± 2 = 254 Hz または 258 Hz
|f_C − 256| = 5 より
f_C = 256 ± 5 = 251 Hz または 261 Hz
|f_B − f_C| = 3 より
(f_B, f_C) = (254 Hz, 251 Hz), (258 Hz, 261 Hz)
[
|X| = a (a > 0) のとき X = ±a
]
────────────────
時間的うなりと空間的うなり(上級者用)
────────────────
x 軸正方向に進む2つの正弦波を考える.
A は振幅, f₁, f₂ は振動数, λ₁, λ₂ は波長である.
y₁ = A sin(2π(f₁t − x/λ₁))
y₂ = A sin(2π(f₂t − x/λ₂))
(f₁ ≈ f₂, λ₁ ≈ λ₂)
(1) 和積公式
sinα + sinβ = 2 cos((α − β)/2) sin((α + β)/2)
を用いて, 合成波 y = y₁ + y₂ を
y = 2A cosP sinQ の形に書き直せ.
(2) x を一定として, cosP の部分の周期 T_P と sinQ の部分の周期 T_Q を求めよ.
また, 合成波の時間的な振幅の変化について簡潔に説明せよ.
(3) x を一定として, 時間的うなりにおける振幅が最大となる時刻(腹)から次の腹までの
周期 T と, うなりの振動数 f を f₁, f₂ を用いて表せ.
(4) t を一定として, cosP の部分の波長 λ_P と sinQ の部分の波長 λ_Q を求めよ.
また, 合成波の空間的な振幅分布の変化について簡潔に説明せよ.
(5) t を一定として, 空間的うなりにおける振幅が最大となる位置(腹)から次の腹までの
間隔 L を λ₁, λ₂ を用いて表せ.
(6) 合成波の速く振動する波の速度(位相速度) v_phase と
振幅包絡線の進む速度(群速度) v_group を求めよ.
────────────────
(1)
y = 2A cos(2π((f₁ − f₂)/2 t − ((1/λ₁ − 1/λ₂)/2) x))
× sin(2π((f₁ + f₂)/2 t − ((1/λ₁ + 1/λ₂)/2) x))
(2)
cosP の周期 T_P = 2 / |f₁ − f₂|
sinQ の周期 T_Q = 2 / (f₁ + f₂)
合成波は, 短い周期 T_Q の振動が,
長い周期 T_P のうなり(振幅変調)の中で変動する.
(3)
腹は cosP = ±1 のときに現れるため,
腹から次の腹までの間隔は T_P の 1/2 となる.
時間的うなりの周期
T = T_P / 2 = 1 / |f₁ − f₂|
うなりの振動数
f = |f₁ − f₂|
────────────────
(4)
cosP の部分の波長
λ_P = 2 / |1/λ₂ − 1/λ₁| = 2λ₁λ₂ / |λ₁ − λ₂|
sinQ の部分の波長
λ_Q = 2 / (1/λ₁ + 1/λ₂) = 2λ₁λ₂ / (λ₁ + λ₂)
合成波は, 短い波長 λ_Q の振動が,
長い波長 λ_P のうなり(振幅変調)の中で変動する.
(5)
腹は cosP = ±1 のときに現れるため,
腹から次の腹までの間隔は λ_P の 1/2 となる.
腹間隔
L = λ_P / 2 = λ₁λ₂ / |λ₁ − λ₂|
(6)
位相速度
v_phase = λ_Q / T_Q
= (2λ₁λ₂/(λ₁+λ₂)) / (2/(f₁+f₂))
= λ₁λ₂(f₁+f₂)/(λ₁+λ₂)
群速度
v_group = λ_P / T_P
= (2λ₁λ₂/|λ₁−λ₂|) / (2/|f₁−f₂|)
= λ₁λ₂|f₁−f₂|/|λ₁−λ₂|
────────────────
[
(4) 振動数が近い場合に生じる時間的うなりに対し,
波長が近い場合には空間的うなりが生じる.
グラフの横軸が t から x に置き換わるだけで,
数式の構造は時間的うなりと本質的に同じである.
周期の場合と同様に, 正弦波の一般式と係数比較することで波長が求まる.
時間的うなりと空間的うなりは,
同じ包絡関数 cosP を時間で見るか, 空間で見るかの違いである.
λ₁ ≈ λ₂ より, λ_P ≫ λ_Q となるため,
空間的な振幅の増減(うなり)が生じる.
空間的うなりの波長は, 包絡関数 cosP の1周期分に相当し,
腹間隔はその 1/2 である.
これは, 定常波において腹間隔が波長の 1/2 であることと同じ構造である.
sinQ の進む速度が位相速度 v_phase,
cosP の進む速度が群速度 v_group である.
f₁ = f₂ の場合, v_group = 0 となり, 包絡線は空間に固定される.
