波の重ね合わせの原理・独立性と定常波(定在波)の式

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定常波(定在波)のGeoGebraアニメーション

波の重ね合わせの原理・独立性と定常波 重ね合わせの原理 1点に2つの波が同時に到達したとき, その点の波の変位はそれぞれの波の変位の和になる. すなわち, y = y₁ + y₂ 重ね合わせてできた波を合成波という. 実際に目で見ることができるのは合成波である. 波の独立性 2つの波がぶつかりあっても, 互いに影響せず, 元の波形を保ったまますり抜ける. 例. 音波の独立性により, 複数の声が重なり合っても聞き取れる. 媒質の各点は単振動しており, このとき媒質の復元力はフックの法則 F = −k y に従う. この比例関係(線形性)により, 媒質の運動は足し算で扱うことができ, 重ね合わせの原理が成り立つ. 波は媒質自体が移動するのではなく, 各点の単振動の状態(変位・位相)が伝わる現象であるため, 独立性をもつ. 高校物理では, 重ね合わせの原理や波の独立性が成り立つような単純な波のみを扱う. 振幅の大きな津波, 爆発による衝撃波, 強いレーザー光などでは成り立たない. 2つのパルス波の合成 図は速さ 1.0 m/s で逆向きに進む2つのパルス波の, 時刻 t = 0 s における波形である. t = 1.0, 2.0, 3.0, 4.0 s における合成波の波形を考える. まず, 2つの進行波の波形をそれぞれ描き, 次に同じ位置 x における変位 y を足し合わせて合成波の波形を描く. 各進行波が直線のとき, 合成波も直線になる. y = y₁ + y₂ = (a x + b) + (c x + d) = (a + c) x + (b + d) よって, x が整数である点の変位 y = y₁ + y₂ を求めて点をとり, それらを直線で結べばよい. 例. t = 2.0 s のとき x = −1 では y = 0.5 + 0 = 0.5 x = 0 では y = 1 + (−0.5) = 0.5 x = 1 では y = 0 + (−1) = −1 t = 4.0 s で2つの進行波の重なりが解消された後は, 各波は元の波形を保ったまま進む. これは波の独立性である. 定常波(定在波) 逆向きに進む, 振幅・波長・速さが同じ2つの進行波が重なり合って生じる, 進まない合成波を定常波(定在波)という. 全く振動しない点を節, 最大の振幅で振動する点を腹という. ・定常波の波長は進行波の波長と同じである. λ(定常波) = λ(進行波) ・定常波の腹と腹, 節と節の間隔は, 進行波の波長の半分である. λ / 2 速さ1.0 m/sより, 時刻 t = 5.0 s では, 2つの進行波は初期位置から 5.0 m 進んだ位置に到達している. 正弦波を描くとき, 1周期の両端とそれを4等分した点の合計5点をとることが重要である. よって, 本問では x が整数である位置の変位を求めれば十分である. t = 5.0 の進行波の到達は x = ±4 までなので, x ≤ −4 と 4 ≤ x の合成波は各進行波と一致する. 一方, −4.0 ≤ x ≤ 4.0 の範囲では, 2つの進行波が重なり合って定常波となる. 他の時刻も同様である. 定常波は同じ2つの進行波の重ね合わせであるため, その振動の周期は進行波の周期と一致する. x = 0 における振動が y(0, t) = A sin(2π/T · t) で与えられる, 振幅 A, 周期 T, 波長 λ の正弦波が媒質中を伝わる. この振動が +x 方向に進む進行波を y₁(x, t), −x 方向に進む進行波を y₂(x, t) とする. (1) y₁(x, t), y₂(x, t) を A, T, λ を用いて表せ. (2) 合成波 Y(x, t) = y₁(x, t) + y₂(x, t) を y = 2A f(x) g(t) の形で表せ. (和積公式利用) (3) (2)で導出した式の物理的意味を説明せよ. (1) y₁(x, t) = A sin 2π ( t/T − x/λ ) , y₂(x, t) = A sin 2π ( t/T + x/λ ) . (2) Y(x, t) = A sin 2π ( t/T − x/λ ) + A sin 2π ( t/T + x/λ ) = 2A sin { [ 2π ( t/T − x/λ ) + 2π ( t/T + x/λ ) ] / 2 }   × cos { [ 2π ( t/T − x/λ ) − 2π ( t/T + x/λ ) ] / 2 } = 2A sin ( 2π/T · t ) cos ( − 2π/λ · x ) . cos( −θ ) = cos θ より, Y(x, t) = ( 振幅項 ) 2A cos ( 2π/λ · x ) · ( 振動項 ) sin ( 2π/T · t ) . (3) 変位 Y は位置 x のみの関数 f(x) と, 全点に共通な時間変化 g(t) の積で決まるから, 各点は同じ周期 T で同時に振動し, 振幅だけが位置 x によって異なる. つまり, 波形は進まず, f(x) = 0 の位置に節, |f(x)| が最大の位置に腹が固定される. 腹の位置 x = −5.0 , −3.0 , −1.0 , 1 , 3 , 5    振幅 2.0 m 進行波の速さ 1.0 m/s , 波長 4.0 m より, 周期 T = λ / v = 4.0 m / 1.0 m/s = 4.0 s . まず, 2つの進行波の波形をそれぞれ描き, 次に同じ位置 x の変位 y を足し合わせて合成波の波形を描く. 速さ 1.0 m/s より, 時刻 t = 5.0 s では, 2つの進行波は初期位置から 5.0 m 進んだ位置に到達している. 正弦波を描くとき, 1周期の両端とそれを4等分した点の合計5点をとることが重要である. よって, 本問では x が整数である位置の変位を求めれば十分である. t = 5.0 の進行波の到達は x = ±4 までなので, x ≤ −4 と 4 ≤ x の合成波は各進行波と一致する. 一方, −4.0 ≤ x ≤ 4.0 の範囲では, 2つの進行波が重なり合って定常波となる. 他の時刻も同様である. 定常波は同じ2つの進行波の重ね合わせであるため, その振動の周期は進行波の周期と一致する. x=0 における振動が y(0, t)=A sin(2π/T · t) で与えられる, 振幅 A, 周期 T, 波長 λ の 正弦波が媒質中を伝わる. この振動が +x 方向に進む進行波を y₁(x, t), −x 方向に進む 進行波を y₂(x, t) とする. (1) y₁(x, t), y₂(x, t) を A, T, λ を用いて表せ. (2) 合成波 Y(x, t)=y₁(x, t)+y₂(x, t) を y=2A f(x) g(t) の形で表せ (和積公式利用). (3) (2)で導出した式の物理的意味を説明せよ. (4) 節と腹の位置を整数 n を用いて答えよ. また, 隣り合う腹どうしの間隔を求めよ. 定常波の式 (1) y₁(x, t)=A sin 2π( t/T − x/λ ), y₂(x, t)=A sin 2π( t/T + x/λ ). (2) Y(x, t)=A sin 2π( t/T − x/λ ) + A sin 2π( t/T + x/λ ) = 2A sin { [2π( t/T − x/λ ) + 2π( t/T + x/λ )] / 2 }   × cos { [2π( t/T − x/λ ) − 2π( t/T + x/λ )] / 2 } = 2A sin(2π/T · t) cos( −2π/λ · x ) cos(−θ)=cosθ より Y(x, t) = (振幅項) 2A cos(2π/λ · x) · (振動項) sin(2π/T · t) (3) 変位 Y は位置 x のみの関数 f(x) と, 全点に共通な時間変化 g(t) の積で決まるから, 各点は同じ周期 T で同時に振動し, 振幅だけが位置 x によって異なる. つまり, 波形は進まず, f(x)=0 の位置に節, |f(x)| が最大の位置に腹が固定される. (4) 節の位置 cos(2π/λ · x)=0 より 2π/λ · x = (n+1/2)π ∴ xₙ(節) = (n+1/2)·(λ/2) 腹の位置 cos(2π/λ · x)=±1 より 2π/λ · x = nπ ∴ xₙ(腹) = n/2 · λ 腹と腹の間隔 xₙ₊₁(腹) − xₙ(腹) = (n+1)/2 · λ − n/2 · λ = λ/2 中級者以上は, 定常波を作図だけでなく, 数式的に理解しておく必要がある. (1) 正弦波の進行波の式の導出は別項で解説済みであるため, 本項では公式として利用する. この公式は y(0, t)=A sin(2π/T · t) (sin 型) が前提であったが, 本問はこの前提を満たしている. (2) 異なる角の三角関数の和は, 和積公式(数II)を用いて積に変換できる. 物理では問題で与えられる可能性が高いが, 本来は数学で覚えておくべき公式である. 和積公式 sinα + sinβ = 2 sin{(α+β)/2} cos{(α−β)/2} (暗記重要度:低) 負角の公式も利用して, 合成波は, 振幅項(x のみの式)と振動項(t のみの式)の積として表される. 和積公式が標準解法だが, 実際には y₁ と y₂ に加法定理(数II)を適用すると, 学生は自然に導ける. 加法定理 sin(α±β)=sinα cosβ ± cosα sinβ (暗記重要度:最高) y₁+y₂ = A sin(α−β) + A sin(α+β) = A(sinα cosβ − cosα sinβ) + A(sinα cosβ + cosα sinβ) = 2A sinα cosβ (α = 2π/T · t , β = 2π/λ · x) (3) 2変数の f(x) と g(t) への分離は, 波形(x 方向)と時間変化が互いに独立であることを意味する. 実際, ある時刻 t の波形の概形は 2A cos(2π/λ · x) で決まり, t を変えても x 方向に平行移動しない. t を変えると, −1 ≤ sin(2π/T · t) ≤ 1 より, y 方向のスケールのみが変化する. 例えば, t=0, T のときは sin(2π/T · t)=0 となり, 位置 x によらず y=0 である. また, t=T/4 のときは sin(2π/T · t)=1 となり, 全点で最大変位となる. (4) cosθ=0 となるのは θ=…, −3/2π, −π/2, π/2, 3/2π, … = (n+1/2)π (n:整数) cosθ=±1 となるのは θ=…, −2π, −π, 0, π, 2π, … = nπ (n:整数)

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高校物理 波動
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