中学数学総覧

『中学数学総覧』の目標と利用法

当サイトでは中学数学の基本事項を網羅する。

中学範囲に縛られたりすることなく、大学受験まで想定して中学数学の解説を行っていく。通常の問題集の内容や解説はあくまでも中学校での定期試験や高校受験を想定したものである。

しかし、これが当たり前になっていると高校に入った後に苦労することになる。ほとんどの中学生は高校生になるのであるから、高校生になってからも役立つような考え方や手法も紹介する。

また、普通の問題集や参考書では容量の関係で省略されるような部分まで詳しく解説する。高校入学後に数学をあきらめる学生が少しでも減ることを期待したい。


想定レベルは地方の公立高校の受験レベルである。都会の有名私立校や中高一貫校は想定していない。


当サイトの全コンテンツの利用法は自由である。自由・無料がインターネットのメリットである。利用できると思えば好きなだけ利用すればよいし、利用価値がないと思えば見なければよいだけである。スマホでの閲覧も想定しているから、利用時間・利用場所も自由である。

一応、次のような利用法を特に推奨する。

  • 学校の進度が遅すぎるから先んじた学習を行いたい。
  • 問題集を解いていたときにわからない部分が生じた。解説・解答を読んでも理解できない。もっと詳しい解説がほしい。
  • 問題集の解答自体理解はできるが、そもそも何故そのような解答に至るのかが分からない。着想を含むもっと深い解説が欲しい。
  • 一通りの各分野の学習が完了した後、もう一度知識を整理したい。
  • 試験で必要な知識だけを簡潔にまとめた教材で手っ取り早く学習を進めたい。
  • 学校では教えてもらえないような解法や裏技的解法・裏技的知識があれば知りたい。

大学進学を想定した場合、学校の進度を無視してどんどん先取り学習することが極めて有効である。中高一貫校でもない限り、能力の高い中学生にとっては学校の授業はあまりに遅すぎる。東大に合格する学生の中には中学生のうちに高校範囲までを全て終えていた学生も少なくない。それくらいのレベルの中学生ならば、1週間から1ヶ月もあれば中学数学の全範囲の学習を完了できる。さっさと一通りの基本事項を理解し、どんどん難しい問題集などにチャレンジしていくのがよい。さらに余裕があれば高校数学の先取り学習も推奨したい。特に、数I数Aまでの範囲は高校受験でも役立つものが多い。

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中学数学の勉強法

もしも数学の試験で点が取れないとしたら、「勉強していない」「勉強のやり方を間違っている」のいずれかである。特に、一生懸命勉強しているにもかかわらず思ったように点が取れないという中学生は、勉強のやり方そのものを改める必要がある。

数学で点が取れない中学生のうち、共通して不足している能力が『計算スピード』である。

多くの中学生は、勉強のときに『解けたかどうか』ということだけに意識が行ってしまい、『どれだけのスピードで解けたか』ということにまで意識がはたらいていない。非常に簡単な計算問題を延々と時間をかけて計算して「やったー!合ってた!」と満足してしまっているのである。はっきり言って、答えが合っていたとしても時間がかかりすぎていてはできたうちに入らない。試験では制限時間が存在する。答えにたどり着けるだけの能力を持っていても、それを時間内に終える能力を持っていなければ点数につながらないのである。

計算力を強化する

どうすれば計算が速くできるようになるのだろうか。そもそも計算が遅いのは時間を意識しないことが原因である。よって、『同じ問題を時間を計って何度も繰り返し解く』のがよい。

多くの中学生は一度解いただけで満足してしまうが、これは不適切である。一度解けた問題であっても繰り返して何度も解く。人間ならば、同じことを繰り返すときには「より短い時間で終わらせよう」という心理が働く。例えば、「1回目に30秒かかったから2回目は20秒、3回目は10秒でやってやろう」と考えるようになる。こうすることで時間への意識が高まり、より速く、より正確に計算できるようになっていく。

可能ならば、普段高得点を取っている同級生や友達に一度計算問題を解いてもらうとよい。凄まじいスピードで計算していることに驚くだろう。簡単な計算ならばほぼ瞬殺である。

計算が速ければ速いほど試験時間にも余裕が生まれ、自然と高得点をとることが可能になる。驚くことに思考も速くできるようになる。目標時間が書いてある問題集があるが、その目標時間の1/2~1/3くらいの時間でできるようになるまで演習を繰り返すことを推奨したい。

一回目で問題集に直接書き込んでしまうと繰り返し演習することができなくなる。よって、ノートや不要紙の上で問題を解くようにして、問題集に直接書き込むのは提出直前の最後の演習のときに限ろう。

また、問題数が多いとすべての問題を繰り返し演習するのは大変でやる気もなくなる。その場合、上手くできなかった問題をチェックしておき、次からはその問題だけを繰り返し演習するなどの工夫をするとよい。

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志望高校を決めるときに中学生に知っておいてほしいこと

進学校に関する誤解

これは富山県の話であるが、『○○高校(富山県の最上位の進学校)に入れば最低でも金沢大学(中堅国立大学)に行ける』と思っている人が少なからず存在する。

しかし、これはとんでもない誤解である。

金沢大学に合格するには最上位の進学校の中でも真ん中以上の成績でなければならない。つまり、1学年300人いるとすれば金沢大学に行けるだけの能力をもっているのは約150番までである。一方、下位約3割(200番以下)は富山大学(下位国立大学)にすら届かない(国立大学に行けない)のが現実である。

中学校で20番以内だった成績上位者が集まってきている進学校であるのにもかかわらず、国立大学に行けなくなってしまうのはなぜなのだろうか。

進学校の生徒でも国立大学に行けない理由

まず、高校受験で燃え尽きてしまうパターンがある。進学校に合格という目標を達成したことで満足してしまい、高校に入った後に勉強しなくなってしまうのである。どれだけ才能があったとしても勉強・努力しなければただ落ちていくだけ、3年後には高校に入ってからも一生懸命勉強し続けた学生と大きな差がついている。

ちなみに、進学校の最下位の学生が大学入試センター試験(ほぼすべての大学受験生が受ける1次試験)で獲得できる点数は、普通科の中で最も偏差値が低い高校の学年平均点を下回る。つまり、進学校に合格したとしてもその後勉強しなければ、3年後には平凡な高校の平均以下のレベルになってしまうのである。

また、進学校では進度が速く内容も難しい。課題も多い。ギリギリ合格した学生は、たとえやる気があったとしても能力不足で学校の授業について行けなくなる。そのような学生は、「わからない」「点が取れない」「やる気が出ない」という悪循環をただ繰り返すだけの3年間になってしまい、結局国立大学に行けなくなるのである。

以上から、大学受験を目指す場合、必ずしも進学校に行くことが正しいとは限らない。進学校に行って最底辺になるくらいなら並レベルの高校に行って上位にいるほうがマシということも少なくない。

進学校のメリットとデメリット

並レベルの高校ではそもそも国立大学を狙える生徒は上位数十人だけである。よって、この生徒達は非常に重宝され、学校の先生がよく面倒を見てくれる。場合によっては1対1で教えてくれることもある。さらに、上位にいれば推薦してもらえる可能性も高くなる。複数の推薦の種類があるが、ある推薦では合格率ほぼ100%で実力より2ランク上の大学に合格ということも珍しくない。また、成績がよければ勉強のやる気も維持しやすい。このように、あえて並レベルの高校を選択することのメリットは多い。

一方、進学校の先生にとっては東大に10人合格させるか11人合格させるかが勝負である。富山大学に50人合格しようが100人合格しようが知ったことではない。当然、富山大学レベルの生徒はその他大勢の存在となり、それなりの扱いしかされない。学校の先生とて1学年数百人いる生徒全員に気を配るなど不可能である。推薦の可能性もないから実力で受けるしかない。一生懸命勉強したとしても周りのレベルも試験のレベルも高いために校内成績は簡単には上がらない。進学校に行けば安心と考えている学生や保護者は少なくないが、現実はそう単純ではない。合格できても授業について行けるだけの能力が不足していると考えるならば、志望高校のレベルを落とすのも決して悪い選択肢とはいえないのである。

もちろん、進学校に行くメリットもある。大学受験を想定した授業、そして受験対策もしっかり行ってくれる。並レベルの高校では普通に授業するだけで受験対策が行われないことも多い。進学校では大学受験を目指す生徒ばかりが集まっており、全員で合格を目指そうとする一体感が強い。人間であればどうしても周りの環境に影響される。上位になるために普通の高校を選んだとしても勉強しない友達に影響されてしまっては意味がない。

単純な成績だけでなく、自分の性格や将来、やりたいことなどをよく考えて志望高校を決めてほしい。

受験は長い人生の通過点にすぎない

中学校の先生や親が『どこの高校に行くかで人生決まってしまう』などと言ってきたりするかもしれないが、これを真に受ける必要はない。

なんだかんだで受験の現実をよく知らない親が多いし、中学校の先生や中学生を対象とする塾の先生は高校受験を想定して授業していることが多いから、よりレベルの高い高校の受験を促してくる。しかし、大学受験を想定したとき、上で述べたようにいい高校に行けばすべて上手くいくというものではなく、合格した後が大事である。

仮に何らかの原因で高校中退することになったとしても「高等学校卒業程度認定試験」に合格すると大学受験の資格を得ることができる。大学受験ならばその気があれば何度でもチャレンジできる。

『どこの高校や大学に行こうが人生どうにでもなるし、いい高校や大学に行っても合格後が大事』というのが個人的な経験から来る意見である。

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高校3年間の生活と国立大学受験

理系学生と文系学生の高校3年間の流れ

中学では高校受験を想定して勉強するわけだが、その先もちょっとだけ知っておいてほしい。

現在、大学進学率は50%以上である。つまり、高校生の2人に1人は大学受験をすることになる。そこで、大学受験までのおおよその流れを紹介しておこう。ただし、学校や科によって大きく違ってくる。以下は地方の公立高校の普通科(大学受験を目指す科)の場合である。

高校1年生では「数学Ⅰ」と「数学A」を学習する。

高校2年生になるとき、理系と文系の選択という大きな分かれ目がある。どちらを選択しても「数学Ⅱ」と「数学B」を学習するのだが、文系は数学の授業数が理系よりも少なくゆったりと、理系はより速く進む。そして、文系が学習する高校数学は数学Ⅱ・数学Bまでである。つまり、文系は高校2年生のうちに高校数学の全範囲の学習を完了し、残りの1年はひたすら大学受験対策である。

一方、理系は2年生の早いうちに「数学Ⅱ」と「数学B」を完了し、「数学Ⅲ」の学習に入る。「数学Ⅲ」を3年生の中頃までに終わらせ、残りの数ヶ月から半年の間は大学受験対策である。

高校2年生になるときに理系を選択するものの、数ⅡBよりもかなり難しい数Ⅲに苦戦し、高校3年になるときに文系に転向する学生が毎年一定数存在する。

国立大学を目指す

特に重要なことは、国立大学の受験では理系はもちろん文系でも数学IAⅡBが原則必須となることである。つまり、数学をあきらめるということは国立大学をあきらめるということに等しいのである。その場合、国立大学の数倍の学費が必要となる私立大学を数学以外の教科で受験せざるを得なくなる。

現在高校生の5割以上が大学に行く時代になったが、国立大学に行けるのは2割である(ただし、国立大学に行ける能力をもちながらあえて慶応や早稲田のような難関私立大学に行く学生もいる)。国立大学に合格するには、地方で1、2を争う進学校(偏差値65以上)の上位7割、そこそこの進学校(偏差値60以上)の真ん中以上、普通の高校(偏差値50~60)の上位数十人の位置をキープし続けなければならない。多くの高校生にとって国立大学合格はそんなに簡単ではないことを知っておくべきである。

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中学数学

高校数学優先のため、これ以外の分野の更新の予定は当面の間ありませんm(_ _)m

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