記述試験の答案用紙には自分のすべてを書き残して採点官に見てもらえ!!!

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教師 「次の問題の答案を本番のつもり}で作成してください」a₁=2,\ a_{n+1}={9a_n+1}{a_n+9}$で定められる数列$a_n$の一般項を求めよ.    (50点)
[-.8zh]

まず,\ ありがちな受験生の思考とその結果生まれる答案例を示す.
【思考】
ダメだ.\ この漸化式のパターンの解き方わからない.\ どうしよう.
そうだ!漸化式の一般項を求める問題には最終手段があったぞ!
一般項を推測して数学的帰納法で証明すればいいんだ!
a₁=21\ だから,\ a₂\ は\ {19}{11}\ か.
さらにa₃\ は\ {91}{59},a₄\ は\ {439}{311},a₅\ は\ {2131}{1619}\ だな.
分子は\ 2,19,91,439,2131,,分母は\ 1,11,59,311,1619
う~ん,\ 規則性がわからない.\ そうだ!階差を調べてたら何かわかるかもしれない.
17,72,348,1692,, 10,48,252,1308,
ダメか.\ くっそおおお,\ 一般項さえ予測できれば数学的帰納法でいけるのに.
えー,\ もしかして予測できないやつなのかなあ.\ それとも予測の仕方がまずいのかな?
予測できないとこの方針意味ないしなあ.\ ああ,\ 50点が.
もう一度規則性がないか考え直してみようかな.
分子と分母の差でも計算してみようか?   1,8,32,128,512,
おお?初項を除けば等比数列かな?だから何?\ ダメだ.\ わからない.
もう時間がない.\ 予測予測予測,\ あああああああああああああああああああ.
やっぱりパターン覚えてないとどうしようもないか.\ 勉強不足だった.
{採点官 「この受験生は訳もわからず苦し紛れに${a₅}$まで求めただけか.
3点でいいかな.」
教師  「どうして数十分もあってほとんど白紙同然なの?」
学生  「一生懸命考えたのですが,\ 解けませんでした」
教師  「どんなことを考えたの?」
学生  「一般項を予想した後,\ 数学的帰納法で証明するつもりでした」
教師  「何故それを答案用紙に書かない!!!」
$a_n$を具体的に求めていって一般項を推測した後,\ 数学的帰納法で証明する.
分子は $2,19,91,439,2131,$
分母は $1,11,59,311,1619,$
一見しただけでは規則性が見つからないので,\ それぞれ階差を考える.
分子の階差をとると $17,72,348,1692,$
分母の階差をとると $10,48,252,1308,$
規則性を見いだせないので,\ 次は分子と分母の差を考える.
$(分子)-(分母)は 1,8,32,128,512,$
$第2項以降からは公比4の等比数列と推測できる.$
$この数列を{b_n}とすると,\ 一般項は b_n=24^{n-1}=22^{2(n-1)}=2^{2n-1} (n2)$
$a_n=f(n)$と推測できたとする.
$n=1のとき a₁=f=2   (n=1のとき成立することを示す)$
$n=kのとき a_k=f(k)が成立すると仮定する.$
$n=k+1のとき a_{k+1}=f(k+1)\ が成立することを示す.$
$数学的帰納法で一般項を証明する場合のポイントが次である.$
$仮定a_k=f(k)に加え,\ 元の漸化式\ a_{k+1}={9a_k+1}{a_k+9}\ も利用する.$
$つまり,\ a_{k+1}={9a_k+1}{a_k+9}={9f(k)+1}{f(k)+9}=f(k+1)$\ と証明できるはずである.
採点官 「ふむ,\ 一般項を推測して数学的帰納法で証明しようと考えたのか.
ただ,\ いろいろ考えてみたが結局推測はできなかったのだな.
本パターンの数学的帰納法の手順も理解できていたようだ.
1つの考え方として大筋は間違ってはいない.
他の受験生白紙ばっかりだし,\ この受験生には30点あげよう」}
おおよそ同等の能力をもっている場合でも,\ 記述の仕方1つでここまで差が生まれる.
まず,\ 最初のポイントは第一行目での宣言である.
あらかじめ,\ 方針・意図・戦略を明記したわけである.
仮に完遂できなくても採点官にアピールでき,\ 評価の対象になりうる.
方針の記述がない答案では,\ 苦し紛れに中学生でもできることをやったとしかみなされない.
記述がなくても推測しようとしたことがわかってもらえるだろうなどと考えてはならない.
採点官は受験生の思考を推測してはならず,\ 答案だけを見て判断する.
方針があったのか苦し紛れなのか,\ どちらともとれる場合は苦し紛れとみなさざるを得ない.
よって,\ 受験生は確実に自分の意図を記述しておかなければならないのである.
次のポイントは,\ 実験の過程とその結果をすべて記述することである.
何を試したのか,\ 結果どうであったか,\ 何故そうしようと思ったのか,\ 1つ残らず記述する.
思った結果が得られなかった場合も,\ その過程や結果や理由を記述する.
その他,\ 何か気付いたことや感じたことがあれば,\ 1つ残らず記述する.
試行錯誤や途中計算を問題用紙でやる学生が少なくないが,\ ほぼ無意味である.
これらはすべて答案用紙上で行い,\ すべて書き残すべきである.
どれだけ問題用紙で頑張ったとしても,\ 答案用紙が白紙では意味がない.
何も考えていない,\ 何もわかっていない,\ 何も勉強していないのと同じである.
大問1つ当たりの配点が数十点にもなる記述試験では,\ 多少の部分点は容易にもらえる.
白紙だと0点確定である.\ 何かしら書けば何が起こるかわからないので,\ とにかく書く.
書き続けていると,\ 解答欄が足りなくなる場合がある.\ 対処法としては次が考えられる.
問題用紙などで指定されている場合はそれに従う.}
わからない場合,\ 挙手して試験官に裏に続ける許可をもらう.}
許可がでれば,\ 試験管に許可を得たことと裏に続けることを明記した上で裏に書く. }
ダメなら不要と思う部分を消すしかない.\ 自分で勝手な判断をするのは禁物である.
最後のポイントは,\ 一般項が求まらずとも数学的帰納法の概略を説明できることである.
数学的帰納法はどんな方法か,\ その際の要点などを可能な限り記述する.
途中ができなくても,\ 大雑把でいいのでその後の流れを記述することが重要である.
以下は精神論である.
大学は教育機関であると共に研究機関でもある.
研究では,\ 人類の誰もが未だなしえていない新たなチャレンジをしていくことになる.
当然最初からうまくいくことなどほぼない.\ 実験,\ 失敗,\ 試行錯誤の繰り返しである.
受験生も大学に入学して数年後には研究室に所属して研究活動に身を置くことになる.
そこまで見据えたとき,\ 次のような学生を一体どこの大学が欲しがるだろうか.
「知らないパターン」\ →\ 「わからない」\ →\ 「やーめた」\ →\ 「白紙」}  経験上,\ 中堅国立大学以下の受験生は難問に対し白紙,\ 白紙,\ 白紙のオンパレードである.
{ ありえない,\ ありえない,\ ありえない.
本気で点を取る気があるのだろうか.\ 合格する気があるのだろうか.
何のために一生懸命受験勉強してきたのだろうか.
美しい答案を書けなくても,\ 最後の1秒まで粘った執念深く泥臭い答案を作成すべきである.