高校数学の勉強法(定期試験対策と外部模試・大学入試対策)

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はじめに

高校理科に比べると高校数学の勉強の仕方は単純ではない。各個人の状況や目標によって様々に変わってくるからである。

高校数学を学習する多くの学生の目標は、学校や模試の数学の試験で点を取り、最終的に大学に合格することであろう。

一口に勉強といっても様々である。重要なのは、学校や外部模試の数学の試験で点を取るには、学校や模試の数学の試験で点を取るための勉強をしなければならないということである。

趣味で数学を勉強したり、数学検定の合格を目指すこととはまた話が違ってくる。もちろん、趣味で勉強した数学や数学検定のための勉強が定期試験や受験に全く役立たないということではない。

しかし、受験というのは限られた期間内でどれだけのレベルに到達できるかを他の人と争うということである。よって、遠回りすべきではなく、大学合格を目指すならばそれに特化した学習をすべきである。他教科も同じである。

勉強の仕方について細かいことを言い始めるとキリがないので、当ページでは大きく2つに分けて一般論を述べる。

定期試験対策

定期試験の意義

多くの高校生にとって定期試験で点を取ることが第一目標になる。定期試験で点が取れないのに外部模試や大学入試で点が取れるはずはない。

ただし、点を取る方法の前に、そもそも定期試験とは何か、何のためにあるのかを理解しておく必要がある。

定期試験は、学生が自身の学習の到達度を確認するためのものである。それができるように、学校の先生が試験範囲の中で『基本事項を問う問題』『重要なポイントを含む問題』『差がつきやすい問題』『大学入試で頻出の問題』などを厳選して出題してくれている。

よって、何点取れたかは本質的には重要ではなく、できなかった問題を見直して外部模試や大学入試までにできるようにしておくことこそが重要である。もっとも、それがきちんとできている学生は圧倒的少数派である。

ただし、推薦合格狙いならば定期試験での点数が極めて重大な意味を持つので注意する。

定期試験で点を取る手順

定期試験で点を取るには以下を目指した学習が必要である。

  1. 問題を見た瞬間にどのパターンであるかが認識できる。
    定期試験ではいわゆるパターン問題が出題される。パターンとして知っていれば解けるし、知らなければ解けない問題である。よって、その対処法の第一は、「そもそもどんなパターン問題があるのか」を知ることである。ではどこまでがパターンなのかというと、これが明確に断言できないのが厄介なのだが、定期試験ならば4STEPやクリアーなどの傍用問題集にある問題やチャート式やFocusGoldのような網羅系問題集の例題と考えておけばよい。つまり、問題を見たその瞬間に「ああ、同じ問題がチャートにあったな」などと思えるようになっていなければならない。それができないならば学習不足ということである。
  2. そのパターン問題に対し、解答の流れがイメージ(説明)できる。
    「まずこの公式を適用して~次にこう変形して~あとはあれに代入すれば答え」といった感じである。これがいわゆる「解法暗記」である。試験までにこの状態に到達していなければ学習不足である。なお、「公式暗記」は前提中の前提であるが、自分が知る限り全受験生の9割以上は十分に暗記できていないのが現実である。ここで注意すべきは、解法にしても公式にしても単に丸暗記するのか、それとも理解を伴った暗記をするのかで今後の到達レベルが大きく変わりうることである。単なる丸暗記はその場しのぎにしかならない。例えば東大を目指すならば、公式は丸暗記ではなくその使い方、意義・意味、導出法まで深く理解しておかなければ今後応用が利かなくなるだろう。いちいちこれをやっていると時間がかかるので、どこまで理解してどこから暗記するかは自身のレベルや到達目標との相談になる。
  3. 実際に理解・暗記した解法の流れに沿って何も見ずに自分で解答を作成することができるかを確かめる。
    解法を暗記していることと実際に実行できることは同じではない。意外な落とし穴があったり不備が生じていたりするからである。本来ならば自分の作成した答案を添削してもらうのがベストだが、現実問題そこまでやるのは難しく、結局問題集の解答と見比べて確認するのが普通だろう。

特に文系には数学に苦手意識をもっている学生が多いが、少なくとも定期試験レベルなら結局暗記であり、古文単語・英単語を覚えるか、問題パターンや解法を覚えるかの違いでしかない。定期試験で出題されるのは、問題集の問題の数字を変えただけのような問題である。

数学ができないのではなく、単に暗記が足りないだけである。高校数学(定期試験レベル)というのは、「問題の種類と各解法を暗記しておき、それに従って淡々と解答を記述する」ことなのである。

ちゃんと勉強してパターン暗記できているにもかかわらず、それでも思うように点が取れない場合、スピード不足である可能性が高い。5分で解くべき問題を10分も20分もかかるようでは到底試験時間内に解ききれない。パターン問題は、単に解けるというだけではなく、「素早く解ける」ようになっていなければ実戦では通用しない。1回解けたからといって満足せず、同じ問題でも繰り返し演習して瞬殺できるようにしておく必要がある。

定期試験対策のさらなる注意点

どの教科でも同じだが、「授業中にノートをとる」「指定問題の解答をノートに書き写して提出する」などというのは作業であって勉強ではない教科書・問題集や自身がノートに書いた内容を理解したり暗記したりすること勉強である。繰り返しになるが、試験範囲の問題を上の3段階ができるようになるまで繰り返し演習していて初めて点が取れる。すべての問題を1回解いただけでマスターできるようならば苦労はしない。場合によっては、5回6回解き直す必要が生じるはずである。また、繰り返す際にはスピードアップを心がけてほしい。1回目15分かかった問題を2回目12分、3回目8分と時間短縮し、ほぼ思考なく機械的に解答できるようになってはじめてその問題パターンを習得したといえる。定期試験で高得点を取る人は、試験時間中何も考えずに暗記済みのパターンに次々と当てはめて淡々と計算しているだけなのである。

暗記暗記とは言っているものの、他教科の暗記もあるので一から十まで単純に丸暗記していたのでは忘れやすく、結局続かない。何より勉強していてつまらない。やはり、解答の内容に対して一定の理解が必要である。このとき、「どのような発想で得られた解法なのか」「そのような解法で解ける根底の原理は何なのか」「何故この問題が出題されやすいのか」あたりまで理解しておくのが理想ではあるが、実際には難しい(ほとんどの教科書・問題集にはそこまで書いてない)。そこまで書いてあったりするのが当サイトの『高校数学総覧』なのです(* ̄ー ̄*)

定期試験では「何をしているのか」という理解でとりあえずなんとかその場しのぎはできる。問題集の解答を見ても何をしているのか、どうしてこうなるのかすらわからないという段階の人は、先生や友達に聞いたり、当サイトも含めてネットで調べてみたりする必要があるだろう。

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外部模試や大学入試で点を取る

定期試験に加えて次を見据えた学習が必要になる。

  • 過去の全分野の公式や解法パターンを暗記している。
  • パターンでない問題にも対応できるだけの数学的思考力が身についている。

過去に暗記した全分野の公式や解法パターンの暗記をキープし続けているかが問われることになる。英単語と同様、「1回覚えたけど1週間後に忘れてました」では何もしていないのと同じである。一般に、脳のメカニズムからいっても暗記した知識をキープし続ける方法は反復しかない。定期試験が終わって学校で指定されないからといって放置せず、常日頃から過去に学習した分野の問題を反復演習したり公式の確認をしたりしておく必要があるのである。

ちなみに、公式は試験直前に確認して最悪その場しのぎできる。特に覚えにくい公式は直前に暗記して始まった瞬間余白に書くという手段もある(合法カンニング)。

さて、反復して知識をキープしようとしても、学習内容はどんどん増えていくので学習済みの内容のすべてを常に反復演習し続けることは実質的に不可能である。

そこで重要になるのが「パターン暗記においてどれだけ理解が伴っていたか」である。理解が深ければ深いほどその知識は忘れにくいものとなる。例えば、数Ⅰ:2次関数で学習する「(接する)=(判別式0)」という知識に対し、その理由を理解できていない学生は思いの外多い。管理人の感覚では、全受験生の少なくとも半分以上は次のような状態にあるのが現実である。

教師 「判別式ってそもそも何?」
学生 「わかりません。」

教師 「どうして解の個数を判別できるの?」
学生 「わかりません。」

このような学習ではその場しのぎにしかならず、間近の定期試験では点を取れたとしてもすぐに忘れてしまうのも当然である。外部模試や入試に対応する能力を習得するには、高校生として必要な理解を伴ったうえで問題演習を積まなければならないのである。自身で理解ができないならば、やはり教師に聞いたりネットで調べたりしなければならない。

すでに述べたように、パターンを自分の物として習得するには、同じ問題を繰り返し演習して高速化していくことが重要である。しかし、これもすでに述べた通り、どんどん範囲が増えていくのでキリがない。

そこで、同種のポイントを含むより応用的な問題へと徐々に移行していくということが必要になる。例えば、A問題が解けるようになった後、A問題のポイントを含みつつさらにいくつかのポイントがプラスアルファされたB問題を演習する。問題集にもよるが、B問題はA問題を包含しているから、B問題が解けることはA問題が解けることに等しい。よって、A問題が余裕で解けると思ったならばB問題を解けば、A問題の復習をしつつレベルアップできることになる。そして一旦B問題ができるようになれば、その後はより簡単なA問題をわざわざ演習する必要はなくなるわけである。

しかし、ここまでやったとしてもそれはまだパターン暗記の範疇である。入試はパターン問題ではないことも多いので、十分な対応力が整ったことにはならない。

広い意味で言えば、入試問題も高校範囲である以上、学習済みの何らかのパターンに属するはずである(パターンでもない全く未知の問題など解けるはずがない)。そのパターンを巧妙に隠したり、複数のパターンを複雑に融合させたりして入試問題は作られているわけである。

このような入試問題には、本当に単純にパターンや公式を暗記しただけで対応できず、数学的思考力が問われることになる。つまり、自身の頭で様々に試行錯誤しながら既知のパターンに帰着させる能力やその問題の本質を見抜く能力が問われることになる。

パターンや公式を一通り習得(暗記)している前提で、実際にそれらを利用して複雑な問題を解けるかが問われているのが入試数学である。

その能力は一朝一夕で身につくものではなく、1問1問をじっくり時間をかけて考えるという演習をコツコツと積み重ねていく必要がある。例えば、「パターンAで解けるかな。あてはめてみよう。」「ダメか。じゃあパターンBにあてはめてみよう。」「この後さらにパターンCにあてはめる必要があるな」などといった具合である。そのような演習を積み重ねていくうちに、どのような問題に対してどんなパターンが利用できるか、何故利用すべきなのかなどの理解も深まっていくわけである。単にわからなければ答えを見てパターンを確認というのでは意味がなく、自分の頭でそれなりに時間を掛けて試行錯誤することが必要で、かなりの学習時間を要求される。

よって、大学受験を目指す場合、できるだけ早いうちに網羅系問題集などでパターンや公式を一通り習得し、入試用の実戦的な問題集や過去問をとにかく解きまくる必要がある。文系ならば嫌でも高校2年生のうちに高校数学の全範囲を終えるので受験対策に1年近くかけることができるので話が早いのだが、数Ⅲも必要な理系は厄介である。超難関大学や国立医学部に現役で合格するには、学校の授業を先取りしてでも高校2年生のうちに数ⅢCまでの学習を完了しておかなければ厳しい。

以上のように、定期試験とは異なり、入試数学で点を取るのは容易ではない。また、受験は通常総合力であり、数学だけの勝負ではない。自身の目標を踏まえたうえでパターン暗記と思考力強化のバランスや他教科とのバランスをうまく取る必要があり、それができるかも能力の1つである。学生が自力で判断するのはほぼ不可能に近いので、やはり学校・塾の教師など自分のレベルなどをよく知っている人にアドバイスを求めるのがベストである。

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