1次分数型の漸化式 an+1=(pan+q)/(ran+s)

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次の漸化式で定義される数列a_n}の一般項を求めよ.$ $ a₁=8,a_{n+1}={a_n-9}{a_n-5}       a₁=1,a_{n+1}={3a_n+6}{a_n+4}$ 1次分数型} a_{n+1}={p}a_n+q{r}a_n+s}$ 漸化式の代表パターンの中で最も厄介なものであり,\ 普通誘導が付く. しかし,\ 式変形が複雑なため,\ 解法の概要を覚えているという程度で実際に解くのは難しい. 実際に自分で手を動かして演習しておいてほしい. まず,\ ${a_{n+1}=a_n=xとした{特性方程式\ x={px+q}{rx+s}$ を解いて特殊解を求める. 実質2次方程式で重解の場合と異なる2解の場合があり,\ 各場合ごとに解法が異なる. が重解の場合,\ が異なる2解の場合である.\ 具体的な解法は以下で確認してほしい. [特性方程式が${重解\ α\ をもつ}$}場合}] 特殊解が重解となる型では,\ {a_{n+1}-αを計算すると必ず分子にa_n-αが現れる. 本問の場合は,\ a_{n+1}-3\ を通分して計算していくと分子に\ a_n-3\ が現れる. {簡易分数型の場合と同様にa_n3\ を背理法で示した後,\ 両辺の逆数をとる. そして,\ {分母と同じ形を無理矢理分子に作り出し,\ 分解する.} \ 分子の次数下げと同じ要領の変形である.\ こうして置換できるようになり,\ 等差数列型に帰着する. 最後,\ b_n=-12n+{7}{10}であるが,\ {1}{b_n}=-2n+{10}{7}ではない!\ 必ず{通分してから逆数にする}こと. a_n-3=c_nとおくと,\ はc_{n+1}={-2(a_n-3)}{a_n-3-2}={-2c_n}{c_n-2}\ と変形できる. つまり,\ a_{n+1}-αを計算することにより,\ {簡易分数型に帰着した}ことになる. 矛盾 よって,\ 両辺の逆数をとっているのである. 本問は,\ 問題で\ $b_n={1}{a_n-3}$\ とおいて$b_n$の漸化式を作成するように誘導されることも多い.} しかし,\ 誘導されたとしても経験がなければ漸化式を導くのは難しいだろう. {b_{n+1}を計算していく}のが一法だが,\ 結局は分子の次数下げの発想が必要である. 他に,\ {b_n={1}{a_n-3}をa_n={1}{b_n}+3に変形してa_{n+1}={a_n-9}{a_n-5}に代入する}方法もある. 本質的ではないが,\ 経験がなくてもゴリ押しでなんとかなるので意外とオススメの方法である [特性方程式が異なる2解\ ${α,\ β}$\ をもつ}場合}] a_{n+1}={3a_n+6}{a_n+4}\ より,\ 特性方程式は\ {x={3x+6}{x+4\ である. さて,\ 異なる2解α,\ βをもつ場合には複数の解法が存在する. その中で,\ {b_n={a_n-β}{a_n-α}とおいてb_{n+1}を計算していくという本解法が最も簡潔である. 最終的に,\ 等比数列型に帰着する. 最初からb_n={a_n+3}{a_n-2}とおくことを誘導される場合も多く,\ その場合にも通用する. なお,\ 2解のどちらをα,\ βとしてもよい.\ つまり,\ b_n={a_n-3}{a_n+2}とおいてもよい. ただし,\ {(分母)0であることを背理法で示しておく}必要がある. 別解1では両方用いたが,\ 実は{a_{n+1}-αとa_{n+1}-βの一方だけで解くこともできる. [特性方程式が異なる2解\ ${α,\ β}$\ をもつ}が,\ 特性方程式を使わない場合}] の異なる2解}である.$ 特性方程式を使わない場合,\ {あらかじめ決められた形の等比数列型に帰着するようα,\ βを定める. n次式型と同様の発想である. 実際には,\ a_{n+1}-β}{a_{n+1}-α}\ を計算していき,\ 無理矢理\ {r{a_n-○}{a_n-□\ の形になるように変形する.} そして,\ {β=○,\ α=□となるようなα,\ βを求める.} 言うだけなら容易だが,\ 実際にやってみると中々厄介である. 本問の場合,\ {6-4β}{3-β}=-β,{6-4α}{3-α}=-α\ を満たすα,\ βを求めることになる. 2式の形が全く同じであることを利用するのがスマートである. 2式は,\ {6-4x}{3-x}=-x\ に\ α,\ β\ を代入した式である. これは,\ {6-4x}{3-x}=-x\ の解が\ α,\ β\ であることを意味している. α,\ β\ が求まれば,\ 公比も求まる.\ なお,\ このα,\ β\ は特性方程式の2解と一致する. 元はといえば,\ このα,\ βを簡潔に求められるようにしたのが特性方程式である.