微分係数の定義を利用する極限

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当ページの内容は、数Ⅲ微分法の基本計算を学習済みであることが前提となります。

次の極限を求めよ.\ ただし,\ $f(x)$は微分可能な関数とする. {微分係数の定義を利用する極限 本来,\ 極限計算(右辺)の結果として微分係数$f'(a)$\ (左辺)が得られる. ただし,\ 微分公式を用いると,\ 微分係数の定義を用いなくても$f'(a)$を求めることができる. このことを利用し,\ ${f'(a)から逆にlimx→ a}{f(x)-f(a)}{x-a}を求める$パターンがある. 微分係数の定義の利用を考えるべき問題には,\ 次のような目安がある. ${00}$の不定形である. $(もも00の不定形だから)$ ${f(x)-f(a),\ x-a,\ f(a+h)$などの形があり,\ 微分係数の定義を匂わせる. 三角関数や指数・対数関数が含まれる. 問題が$f(x)$などで表されており,\ そもそも具体的な関数が不明である. 三角関数の極限公式\ $lim[x→0]{sin x}{x}=1$も,\ 実は$limx→ a}{f(x)-f(a)}{x-a}=f'(a)$の形をしている. よって,\ $lim[x→0]{sin x}{x}=1$を用いる全ての問題が微分係数の定義を利用する型の1つといえる. このことからも,\ 微分係数の定義の利用の重要さや応用性がわかるはずである. において$f(x)=e^x,\ a=0$や$f(x)=log x,\ a=1$とすると,\ 次の準公式も導かれる. これらを暗記しておくと,\ 極限の問題で方針が立てやすくなる.\ 応用問題では無断使用も可能である. また,\ 微分係数f'(a)は,\ 図形的には「f(x)のx=aにおける接線の傾き」である. ll} lim[x→0]{sin x}{x}=1の図形的意味 & {「f(x)=sin xのx=0における接線の傾きが1」} lim[x→0]{e^x-1}{x}=1の図形的意味 & {「f(x)=e^xのx=0における接線の傾きが1」} limx→1}{log x}{x-1}=1の図形的意味 & {「f(x)=log xのx=1における接線の傾きが1」} 整式や無理式の場合,\ 微分係数の定義を使わずとも,\ 約分や有理化により00の不定形を解消できる. 不定形解消の手段が少ない三角・指数・対数関数で,\ 微分係数の定義の利用が特に有効なのである. 00の不定形であることやe^xがあることから,\ 微分係数の定義の利用を考えなければならない. 準公式lim[x→0]{e^x-1}{x}=1を覚えていれば,\ 本解のような発想が可能になる. 分子に-1+1を加え,\ {f(x)-f(a)}{x-a}の形を無理矢理作り出すわけである. 上では,\ g(x)=e^{-x}とし,\ lim[x→0]{e^{-x}-1}{x}=lim[x→0]{g(x)-g(0)}{x-0}=g'(0)と考えて求めている. 公式は{lim○→ a}{f(○)-f(a)}{○-a}=f'(a)}のようにとらえておくことも重要で,\ 次の解答が可能になる. lim[x→0]{e^{-x}-1}{x}=lim(-x)→0}{e^{-x}-e^{-0{(-x)-0}(-1)=f'(0)(-1)=-1 本解の方法が技巧的と感じる場合,\ {分子全体をf(x)と考える}のがオススメである(別解1). 別解2では,\ 分母分子にe^xを掛けている. lim[x→0]{e^x-e^{-x{x}=lim[x→0]{e^x-{1}{e^x{x}=lim[x→0]{e^{2x}-1}{x}{1}{e^x} 別解3はlim[x→0]{e^x-1}{x}=1を公式として用いたもので,\ 当然最速である. } 00の不定形である.\ lim[x→0]{log(1+x)}{x}=1,\ lim[x→0]{tan x}{x}=1を覚えていれば,\ 自然に解答できる. 00の不定形で分子がf(x)-f(a)なので,\ x-aを分母分子に掛けて微分係数の定義に帰着させる. \ 対数の性質log MN=log M-log Nを適用すると,\ limx→ a}{f(x)-f(a)}{x-a}に帰着する. }次の極限値を$a,\ f(a),\ f'(a),\ f'(0)$を用いて表せ.\ $f(x)$は微分可能な関数とする. 具体的な関数が不明なので,\ 微分係数の定義に帰着させることを考える. f(a+○)の形があるから,\ {lim○→0}{f(a+○)-f(a)}{○}=f'(a)}の形への変形を目指す. そのために,\ {分子に-f(a)+f(a)\ を加える.}\ やや技巧的なので,\ 一度は経験が必要だろう. ○の部分が一致するように分母を調整し,\ つじつまを合わせる. 本解の方法が技巧的と感じる場合,\ やはり{分子全体をF(x)と考える}ことが有効である. x→ aのときF(a)=0より,\ limx→ a}{F(x)-F(a)}{x-a}\ に変形することができる. 後はF'(a)を計算すればよいが,\ F'(x)は{合成関数の微分}になることに注意が必要である. F'(x)=f'(a+2x)(a+2x)’-f'(a-3x)(a-3x)’=2f'(a+2x)+3f'(a-3x) 本問は具体的な関数で出ることも多い.\ 例としてf(x)=sin xとしてみると,\ 次のようになる. 分子に-af(a)+af(a)を加えて,\ 微分係数の定義の形を目指す. 1つ目の極限は,\ 因数分解と約分で不定形が解消される.\ 2つ目の極限が微分係数の定義である. 前問と同様,\ f(x)=sin xにしてみると,\ 次のようになる. 分子に-f(0)+f(0)を加えて,\ 微分係数の定義の形を目指す. 2つに分け,\ {lim○→ a}{f(○)-f(a)}{○-a}=f'(a)}\ の形に変形する.