複素数の絶対値の性質、余弦定理の複素数表示

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複素数$z={a}+{b}\ (a,\ b:実数)$に対し,\ ${|z|={a}+{b={a²+b²}$\ を${z}$の絶対値という.}  複素数平面において,\ 原点と点${z}$の距離という図形的意味をもつ. }  複素数の絶対値の性質 [4]${αβ}=α}β}$,  ${{α}{β={|α|}{β$}   [5]$2点\ α,\ β\ 間の距離  {β-α}$} $[l} z}=0{a²+b²}=0a=b=0z=0  図より明らか. [3]z z=({a}+{b})({a}-{b})=a²+b²\ より,\ z}²=z z\ ({超重要事項})が成立する. |z|={a²+b²}は,\ z=(a,\ b)としたときのz}={a²+b²}\ と同じ意味をもつ. z}²=zz\ であるから,\ 複素数平面のz z\ はベクトルの\ zz\ と対応している. [4]α={a}+{b}\ などとおかなくても,\ [3]を利用すると簡潔に示せる. [5]AB=OB}-OA\ と同じである. %実数のように{|z|}²=z²は成立しないので注意. z²=({a}+{b})²={(a²-b²)}+{2ab}\ である. |} [-.8zh] 複素数$α,\ β$が$α}=5,\ |β|=8,\ α-β}=7$を満たすとき,\ $2α+β}$の値を求めよ. [-.8zh] ベクトルの問題と同様,\ {絶対値は2乗して扱う.} z}²=z z\ の相互変換を瞬時に行えるまでに慣れることが重要である. α-β}\ を2乗すると\ αβ+αβ\ が求まり,\ それを利用して2α+β}\ の2乗を求めればよい. さて,\ 本問は機械的な計算によって求まるが,\ その意味合いが重要である. 前半は,\ a}=5,\ b}=8,\ a-b}=7\ から\ ab\ を求める過程と同じである. a-b}²=a}²-2ab+b}²\ と比較すると,\ αβ+αβ\ が2ab\ と対応している. つまり,\ αβ+αβ}{2}\ はベクトルの内積\ ab\ に相当する式}なのである. さらに言えば,\ a-b}²=a}²+b}²-2ab\ は{余弦定理のベクトル表示}であった. 三角形OAB}に対する余弦定理\ BA}²=OA}²+OB}²-2OA}OB}cosθ\ と対応している. 結局,\ α-β}²=α}²+β}²-(αβ+αβ)\ は{余弦定理の複素数表示}だったわけである. [-.8zh] $複素数\ α,\ β,\ γ\ が\ |α|=|β|=|γ|=1$を満たす. このとき,\ $α+β+γ}=αβ+βγ+γα}$であることを示せ. [-.8zh] 本解は\ z}²=w}²\ を示す単純な解法であり,\ 機械的に計算すれば済む. A²=B²A=B\ が成り立つのは\ A0,\ B0\ という条件の下であるからこれを断る. α}=1\ という条件があるとき,\ α={1}{α}\ として代入する手法もよく使われる. これは,\ α\ と\ α\ を2文字とみなしたとき,\ {1文字消去して文字数を減らす}効果をもつ. 本問の場合,\ 6文字が3文字にまで減り,\ 等式が証明される. 2つ目の別解は2乗せずに直接的に示したものである. {2乗することなく,\ 条件\ α}=1\ を式本体に組み込めている}点が重要である. 共役複素数と絶対値の性質及び条件の巧みな利用が必要で,\ 先を見越せる位に慣れていないと難しい. 途中,\ {α}{β={|α|}{|β|}\ を用いて絶対値を分母分子に分割,\ さらに\ αβ}=α}β}\ を用いて分割した. また,\ 分子では\ α+β}=α+β\ を逆に適用}した.\ 最後,\ { z}=z\ によって目的の形が得られる. 複素数$α,\ β$が$|α|<1,\ |β|<1$を満たすとき,\ ${α-β}{1-αβ<1$であることを示せ. [-.8zh]  $α-β}<1-αβ}$\ を示す.   $1-αβ}²-α-β}²}=(1-αβ)({1-αβ})}-(α-β)({α-β})}$   ${1-αβ}²-α-β}²}=(1-αβ)(1-αβ)-(α-β)(α-β)$   ${1-αβ}²-α-β}²}={1-(αβ+αβ)+α}²β}²}-{α}²-(αβ+αβ)+β}²}$   ${1-αβ}²-α-β}²}=1+α}²β}²-α}²-β}²=(1-α}²)(1-β}²)}$  ここで,\ $|α|<1,\ |β|<1$より,\ ${|α|}²<1,\ {|β|}²<1}$である.  よって $1-αβ}²-α-β}²=(1-α}²)(1-β}²)>0}$  ゆえに $1-αβ}>0,\ α-β}0$より $α-β}<1-αβ}$ $ α-β}{1-αβ<1}$} $[l} 分数のままだと記述が面倒になるので分母を払った式を示す. A}>B}{A²>{B²\ (両辺が正なら2乗しても同値)なので,\ {A²-{B²>0\ を示す. 2乗の差を計算していくとうまく因数分解でき,\ 条件を考慮すると正であることが示される. }]$ |} [-.8zh] 複素数$z$が$|z|=1$を満たすとき,\ $z²+2z+1z$が負数であるような$z$を求めよ. [-.8zh]  $z²+2z+1z$は実数}であるから $z²+2z+1z={z²+2z+1z}$}   よって $z²+2z+1z=( z)²+2 z+{1}{ z}$   ゆえに $(z+ z)(z- z)}+2(z- z)}-{z- z{z z}=0$   つまり $(z- z)}(z+ z+2-{1}{z z})=0$   ここで $z z=1} より (z- z)(z+ z+1)=0$   よって $z= z$または$z+ z+1=0$}  $$$z= z$}のとき,\ $z$は実数}である.\ よって,\ $z}=1}\ より\ z=1}\ である.$ { }\ $ z=1}\ のとき & z²+2z+1z=4>0  より 不適. z=-1}\ のとき & z²+2z+1z=-2<0} より 適する.} $  $$$z+ z+1=0}$のとき $z z=1}$\ より $z+1z+1=0}$ { }よって $z²+z+1=0 より z={-13i}{2$ { }$z²+2z+1z}=(-z-1)+2z+1z=z+1z-1=-1-1=-2<0}$\ より 適する.} $ ,\ より {z=-1,\ {-13i}{2$} $[l} {大小比較できない虚数に正数や負数はない.}\ よって,\ {負数ならば,\ それ以前に実数}であるはずだ. まず,\ f(z)=z²+2z+1z\ が実数になるための条件\ f(z)={f(z)}\ を同値変形する. このとき,\ 必ず\ {z- z\ がくくり出せるはずである}ことを見越して変形する. f(z)={f(z)}\ は,\ f(z)=f( z),\ つまりf(z)-f( z)=0\ と変形できる. ここで,\ g(z,\ z)=f(z)-f( z)\ とする(zと zを2文字とみる). z→ z,\ z→z\ とすると,\ g( z,\ z)=f( z)-f(z)\ となるから,\ {g( z,\ z)=-g(z,\ z)}\ が成立する. つまり,\ {g(z,\ z)は2文字を入れ替えると符号が逆になる式(交代式)}なのである. 交代式g(z,\ z)=f(z)-f( z)において\ z=zとすると,\ g(z,\ z)=f(z)-f(z)=0\ となる. よって,\ 因数定理より,\ {f(z)-f( z)\ が必ず\ z- z\ を因数にもつ}といえるわけである. 他の視点からも考える.\ f(z)がどんな式であれ,\ {zが実数ならば当然f(z)も実数}になる. よって,\ {f(z)の実数条件としてzの実数条件 z= z(z- z=0)\ が導かれるのは必然}である. 要するにzが実数のときであるから,\ z}=1よりz=1となる. z=zより,\ z}²=z z=zz=z²=1と考えてもよい. f(z)=f( z)はあくまで実数条件であり,\ 負数条件ではない(0や正数の可能性もある). つまり,\ 必要条件にすぎないから,\ 最後は代入して負数になるか(十分性)の確認を要する. z z=1\ を用いて{1文字消去}すると,\ zのみの方程式に帰着する. これを解いてzを求め,\ 負数になるかを確認する. 既存の方程式を変形した\ z²=-z-1\ や\ z+1z=-1\ をうまく利用すると代入せずに済む. }]$  \  $z={a}+{b}\ (a,\ b:実数)}$とおく.  $z}=1 より z}²=1    よって a²+b²=1}\ $  $z²+2z+1z}=({a}+{b})²+2({a}+{b})+{1}a}+{b$  ${z²+2z+1z}=({a²-b²}+{2ab})+2({a}+{b})+(a}{a²+b²}-b}{a²+b²})$  ${z²+2z+1z}={(a²-b²+3a)}+{(2ab+b)$  これが負数となる条件は $a²-b²+3a<0}\ , b(2a+1)=0}\ $  より $b=0またはa=-12}$  $b=0}$のとき より\ $a=1$    $ (a,\ b)=(1,\ 0)\ のとき & a²-b²+3a=1²-0²+31=4>0 (a,\ b)=(-1,\ 0)}\ のとき & a²-b²+3a=(-1)²-0²+3(-1)=-2<0} $    よって,\ $(a,\ b)=(1,\ 0)$はを満たさず,\ $(a,\ b)=(-1,\ 0)$はを満たす.}  $a=-12}$\ のとき より\ $b={3}{2}$    このとき $a²-b²+3a=(-12)²-({3}{2})²+3(-12)=-2<0}$    よって,\ $(a,\ b)=(12,\ {3}{2})$はを満たす.} $ ,\ より {z}={a}+{b}={-1,\ {-13i}{2$} $[l} 単純に\ z={a}+{b}\ とおいて求めることもできる. z}=1\ によると負数条件の,\ をすべて満たす(a,\ b)を求める. との2つの等式によって(a,\ b)が定まるから,\ これがを満たすかを調べればよい.